乃木坂46 梅澤美波、キャプテン像を確立してきた2年間 海外公演で見つめた原点、6期生への思いも明かす
2023年2月に梅澤美波が乃木坂46のキャプテンに就任してから、まもなく2年が経とうとしている。副キャプテンという立場を経験した梅澤は、キャプテンとなったことで正真正銘の司令塔であり顔役として、1〜2期生が卒業した現体制の乃木坂46を牽引してきた。その結果グループはさらなる躍進を遂げ、『真夏の全国ツアー2023』では初となる明治神宮野球場での4日連続公演を開催。2024年にはサンボマスターやMrs. GREEN APPLEといったバンドとの対バン公演をアリーナ規模で行い、4年ぶりの海外公演を香港で成功させた。ライブの規模やバリエーションを増やしながら、2025年には6期生という新たな仲間を加えて進化を遂げようとしている乃木坂46。その先頭に立つ梅澤は今、何を思うのだろうか。キャプテンとなってからの2年間、そしてこれからの乃木坂46について語ってもらった。(編集部)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】
グループとしての真価を問われた2年目
──梅澤さんがキャプテンに就任して、間もなく2年が経とうとしています。
梅澤美波(以下、梅澤):びっくりですよね。あっという間でした。ここまでの約2年間がグループにとっても激動の期間だったので、たぶんキャプテンになっていなかったとしても濃い2年だったと思います。
──2023年は『真夏の全国ツアー2023』から3期生を中心とする現体制での活動が本格化しましたが、梅澤さんはじめ多くのメンバーが新しい乃木坂46をどう見せていくか、いろんな場面で葛藤したのではないかと思います。
梅澤:そうですね、2023年はずっと不安で。2月に(秋元)真夏さんからキャプテンのバトンを受け取って、先輩方もみんな見送って、「この夏が本当の勝負だ」みたいな空気感がみんなにあったと思います。グループ名が変わるわけでも、空気感が一変しちゃうわけでもなかったんですけど、引き継ぐ覚悟をちゃんと持って臨まないといけないという不安や焦りが常につきまとった1年でした。そういう意味では、ものすごく一生懸命になれた1年でもあったのかな。今度は一から自分たちが作っていく難しさも初めて感じましたし、同時に第一線でそれをやってくれていた先輩方の重みもすごく感じたので、もう一度初心に帰って一生懸命みんなで走る感覚を味わえたのは、大変だったけどいろいろ勉強になりました。
──グループ初期を知っているオリジナルメンバーがいなくなるというのは、チャンスであると同時にピンチでもあるわけですものね。
梅澤:私はピンチって感覚のほうが強くて、なかなかチャンスとは捉えられなかったです。だからこそ毎回勝負っていう感覚で向き合っていた気がします。
──それが『真夏の全国ツアー2023』千秋楽の明治神宮野球場公演で、最後に梅澤さんが発した「私たちが乃木坂46です」というあの言葉の重みに繋がるんでしょうね。
梅澤:ありがとうございます。あの一言は、あそこで言うぞと事前に用意していたものではなくて。ツアーで各地を回って、その終着地として初めて神宮で4日間もライブをやれたからこそ出てきた言葉なのかな。あの年の夏はいろいろ壁にぶつかりながら戦っているメンバーの姿をたくさん目にしたし、だからこそ私が自信を持って言わなきゃって思ったような気がしていて……そう考えると、自分は知らず知らずのうちにいろいろ背負い込んでいたのかもしれません。でも、正直あのときの記憶って本当に曖昧で(笑)。今思えばそれぐらい夢中になれた夏だったんだなってことを、当時の映像を観返して強く感じます。
──新体制1年目は先輩たちのやってきたことをただなぞるのではなく、神宮でのライブも過去最多の4日連続で開催したり、アンダーライブも横浜アリーナで3日間行うなど、先輩たちが成し遂げてこなかったことにも果敢にトライしました。そこでの経験が、皆さんの自信に繋がっていったんでしょうね。
梅澤:はい。夏を乗り越えられて、大きい会場でまた新しい形のライブを成功させられたことで、一人ひとりが着実に力をつけて自信を持てるようになったと思います。
──2023年末に久保史緒里さんとお話ししたんですが、そのときに「新体制1年目がうまくいったからこそ、2年目となる2024年が怖い」と言っていたことが印象に残っていて。
梅澤:本当にその通りです。新体制1年目は新しいものとしてポジティブに受け取ってもらえるだろうけど、真価を問われるのは2年目。そういう意味では、2024年は苦しかったかもしれません。それこそ『12th YEAR BIRTHDAY LIVE』も初心に返って4日間全曲違う内容だったりと、たくさん挑戦もしてきたけど、その分いろいろ反省もあったし……本当に苦しかったです。もちろんその一つひとつのライブとかイベントに対してはより良いものをお届けするつもりで臨んできましたが、ファンの皆様がどう受け取ってくださるかとか、どういうふうにメンバーに伝えたらみんなの気持ちが同じ方に向くんだろうとか、みんなはどういうふうに感じているんだろうとか、そういうところがちょっと見えにくかったかなとも思いましたし。1年目を経て今のメンバーとこの空気感でいることに安心感とか自信が得られるようになったからこそ、そこでさらに自分に鞭打たないときっと停滞するぞと思って。なので、良かったところよりも「ここをもっとこうできたな」みたいなことがどんどん増えていったんでしょうね。
4年ぶりの海外公演から得た学びと刺激
──先ほど、2年目はたくさん挑戦もしてきたとおっしゃいましたが、例えばサンボマスターやMrs. GREEN APPLEとの対バンや、4年ぶりの海外公演などもその一環だったのかなと思います。
梅澤:そうですね。それこそ対バンライブや香港でのライブは刺激が大きかったですし、改めて「もっと今の乃木坂46を広めていかなきゃ」みたいなところもすごく感じました。特にほかのアーティストさんのパワーを間近で目にしたことで、もっといろんな人たちを引き込めるような力をつけていかないといけないという、新しい課題も見つかりましたし。自分たちにない良いところって、外に出れば出るほど目につくようになるじゃないですか。でも、実はそこが難しいところでもあって。いろんなアーティストさんとかアイドルさんとご一緒させていただく中で、皆さん本当に素晴らしい方々ばかりだから、「私たちもこういうふうにしたほうがいいのかな?」とか「私たちも取り入れられるんじゃないかな?」とか感じることもたくさんありますし、新しいことを取り入れるのはもちろん大事なんですけど、私たちが今やっていることとか作ってきたものに対しての自信があるからこそ、そこでブレちゃいけないというか。ちゃんと信念を守りながら、どこまではみ出していいんだろうってことはすごく考えました。挑戦から得たものをしっかりと私たちの色に変えて、表に出していかないといけないなってすごく実感したので、本当に学びの1年だったなと思います。
──昨年6月28日の香港でのワンマンライブはいかがでしたか。海外公演自体、2020年1月の台湾以来4年半ぶり、香港でライブを行うのは2018年以来約6年ぶりだったわけですが。
梅澤:3期生はある程度みんな経験したのかなっていう感じなんですけど、(ライブ当時に)5年目の4期生は遠藤(さくら)と賀喜(遥香)と筒井(あやめ)しか海外ライブの経験がなくて。そこで「そっか、そんなに時間が経ったのか!」っていうことをすごく感じましたし、それこそ5期生にとっては初めての海外ライブだったので、このタイミングで行けて嬉しかったです。実際、新体制となった今のメンバーに対してもちゃんと海外で待ってくれている方がいるんだって知れたことは、本当に安心感にも繋がりました。4年ぶりに行った海外でもすでに5期生のファンは多くて、5期生の推しメンタオルを持っているファンの方もたくさんいたんですよ。
──特にコロナ禍以降、オンラインによるミート&グリートが主流になったことで海外のファンの方も参加する機会が増えたのではないでしょうか。
梅澤:そうなんです。だから、ようやく私たちから会いに行けたと思って。そういう意味でも、ありがたみを感じる大きな機会でした。でも、現地に行って感じたのは日本のライブとはちょっと雰囲気が違うというか、それこそ4年前に海外に行った頃の空気感のままだったということ。これは私たちのライブだけじゃなくて、きっといろんなアーティストさんも一緒だと思うんですけど、ライブの形ってどんどん変化していて、特にコロナ禍以降は応援の仕方、例えばコールの仕方とか変わったなと感じる瞬間があるんですけど、久しぶりに行った香港ではそのコールが当時のままで、ちょっと懐かしくなりました。きっと現地のファンの方が当時の記憶のまま応援し続けて待ってくださっていたからだと思うんですけど、その頃とはメンバーも違えば披露する楽曲も違うのに、本当に不思議な感覚でした。
──セットリスト的には2020年以降の楽曲を軸にしつつ、初期の乃木坂46の代表曲も織り交ぜながら、それを現在の3期生から5期生までの編成で見せるわけですものね。梅澤さん自身、印象に残った曲だったり日本と比べてリアクションが異なる曲などありましたか?
梅澤:「月の大きさ」への反響がすごく大きかったことが印象に残っています。この曲は最近の日本のライブでは披露する機会が少なくて、久しぶりに香港でパフォーマンスしたんですけど、アニメ主題歌(テレビ東京系『NARUTO-ナルト-疾風伝』オープニング主題歌)ということもあってか、現地で人気が高いそうなんです。日本でのライブと比べてシングル曲が多いというのもそうですし、そこで今と過去の乃木坂46をうまく融合させた形を見せられて新鮮でした。そういう意味でも「海外のライブとなるとセットリストもこうやって変わってくるよな」と気づけたことはとても印象的でした。
──そういう意味では、攻めたセットリストでもありますよね。
梅澤:本当にそう思います。日本でのライブだとなかなかここまでは振り切れないだろうなって気がしますし。
──お客さんの雰囲気に関しては、日本との違いって感じましたか?
梅澤:女性のお客さんもいましたし、男女比は日本とそんなに変わらない感じで。そんな中で特に印象的だったのが、広東語を覚えてMCで自己紹介をしたんですけど、それ以外のパートで日本語で話していたら皆さんが時差なくリアクションしてくれたこと。皆さん日本語をたくさん勉強してくれているんだなっていう、無償の愛みたいなものを強く感じました。それだけ私たちのことを待ち望んでいてくれたんだって、皆さんのキラキラした目からもたくさん伝わってきましたし。本当にありがたいです。
──そういう海外での経験が、以降の日本での活動にも何か反映されていると感じることはありますか?
梅澤:香港公演で披露したほとんどの曲をオリジナルに近い形のフォーメーションでパフォーマンスしたんですが、日本でライブをするときって、わりと元の形を崩して、会場を広く使って披露することが多いんです。そういう意味では、改めてその曲が持つ振り付けの意味を再認識するために、当時の振り入れ映像を観返したりしてポジションや細かな動きにもこだわったので、原点を振り返るという点でもすごくいいタイミングだったなと思います。