ライブ・コンサートチケットの“平等”な販売方法はあるのか 日韓アイドルの例を参考に考える

 また、韓国でもコンサート現場でのダフ行為は禁止ではあるものの、オンライン上での取引には規制がなかったため、“先着順”を逆手に取りマクロプログラムという反復行為を簡単にするBotを利用して複数の席を素早く購入する転売業者(日本を含む海外在住者向けの代行業者の多くはこの手法を取っていると言われている)などの出現によってチケットのプレミアム価格での転売が社会問題にもなっている。今年の3月22日から韓国の公演法が改正され、マクロプログラムで購入したチケットを定価以上で転売すると刑事処罰の対象となることになったが、同法はマクロプログラムの使用時に限定されているため、“プレ値転売”自体にはまだ規制がない状態だ(※1)。さらに北米の場合はプレミアム値での転売は自由で、チケットを求める人が多い場合は同じ公演でも値段が上がるダイナミックプライシング方式の販売も珍しくないため、最初から出せる金額やアクセス機会の格差が露骨に表れるという、単純な“先着順”以外の問題もあるようだ。

 このように、抽選方式も先着方式もそれぞれの長所と短所がある。公演の人気度合いやチケットを買うファンの側のそれぞれのスタンスや希望の強度は異なるため、全ての人が満足できるような販売方式というのは現実的には難しいのだろう。例えば先述の抽選後のチケット流しのように、現場に入る欲の高いファンが多名義などでチケットを複数押さえて流すケースが多ければ、後続の抽選や一般発売に良席が流れてくる機会は多くなるだろう。このように、ファンの購入後の行動がコンサート全体の座席配分に影響しないとは言えない。近年は韓国でも人気公演ではファンクラブ先行に限り抽選式を取り入れている事務所も出てきており、結局“ファンダムの不満”を最小限に抑えるのに重要なのは、どのようなスタンスのファンがどの程度の割合でいるのかを把握した上でキャパシティバランスを考慮した、コンサート開催計画なのかもしれない。

※1:https://blog.naver.com/dlightlaw/223354575889

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