Crystal Lake脱退からシーンへの帰還 Ryo Kinoshita、「Knosis」始動とゲームへの心酔

Ryo Kinoshita、ゲームへの心酔

 元Crystal Lakeのボーカリスト・Ryo Kinoshitaと、Survive Said The ProphetのYoshとMade in Me.のDaikiからなる音楽プロダクションチーム・The Hideout Studiosによるプロジェクト「Knosis」が今年1月に始動した。Crystal Lake脱退後、どん底にいたRyoが、それでも音楽をやめなかったのはなぜなのか――そのすべてがこのKnosisというプロジェクトの根底にはある。

 「東京に戻るつもりはもうなかった」と語ったRyoが、Knosisにどのような意味を感じているのか、結成の経緯からKnosisでの音楽制作について、そして、ゲームを主なインスピレーションにしている理由をあらためて聞いてみた。

 「ゲームには、その開発に携わった人たちの生き様が見える」「それは音楽制作と変わらない」とRyoは語る。ゲームに心酔し、それを音楽として昇華するのはなぜなのか、11月15日にリリースされた新たなEP『THE ETERNAL DOOM』の着想など、今の彼の心を紐解いていく。(編集部)

Ryoを音楽へと引き戻したYoshの言葉「絶対にステージに戻ってこい」

――今年1月にKnosisの始動を発表し、10月時点ですでに国内外で精力的にツアーの開催やフェスへの参加をされています。それらの反響はいかがですか?

Ryo Kinoshita(以下、Ryo):想像以上ですね。そもそもこのプロジェクトが具体化してきたのが去年の10月くらいだったので、それからのことを考えると自分がまったく追いついていなくて。それくらい、すごく反響をいただいています。

――そもそもKnosisというプロジェクトは、ライブもありきでのプロジェクトだったのでしょうか?

Ryo:「それなりに」とは思ってたけど、ここまでやっていくとは本当に思っていなくて。それも最初にツアーに呼んでくれた、KnosisのパートナーでもあるSurvive Said The ProphetのYoshのおかげです。Yoshが「Knosisを最初にサバプロのツアー(自主企画『MAGIC HOUR』)に入れたい」「一緒にツアーを回りたい」と言ってくれて。確実にそれがブースターになったと思います。

――あらためて、Knosisの結成の経緯を教えてください。

Ryo:まず前提として、Yoshは僕がCrystal Lakeにいた時から、英語のアドバイス含めて歌詞を作るのを手伝ってくれていて、当時からパートナーのような存在でした。で、コロナ禍でアメリカツアーが途中で中止になり、日本に帰ってきた時にYoshと「これからどうしようか」みたいな話をしていて。その時点で「いつかふたりで何かできたら面白いね」というような話をしていたんです。

――そうだったんですね。

Ryo:ただ……何年も前から俺が精神的に苦しい時期が続いていて。それまでにも何度もCrystal Lakeをやめようかという話が出ていたんですが、コロナ禍がトリガーになってしまって。休みをいただいているあいだに実家に帰って。もう音楽はやめようと思って、地元の友達と新しいことをしようか、なんて話もしていた。そんな時にYoshから電話がかかってきて、「いや、お前は音楽をやらなきゃいけない」「絶対にステージに戻ってこい」と言ってくれました。そこから定期的にYoshといろいろな話をするようになって。

 去年の9月にCrystal Lakeの脱退を発表して、そのタイミングでまたYoshから電話がかかってきたんです、「今すぐ(音楽を)やるぞ」って。それまでは本当に東京に戻るつもりはもうなかったんですけど、半ば引きずり戻されるようにして東京に戻ってきて、Yoshと曲を作り始めました。ひとりで作ったり、Yoshと作ったり、最初は手探りだったんですけど、Yoshはバイタリティの塊なので、サバプロのツアーに呼ぶことを決めてくれて。「ツアーに出るなら曲がいるよね」「じゃあいつまでに曲をリリースしようか?」と話を進めてくれて。そのあたりからだんだんと「あ、俺、またシーンに戻るんだ」と実感が湧いてきたという感じです。

――ということは、ライブのために曲を作り始めた?

Ryo:最初はとりあえず曲を作るというところからでしたね。セラピー的な感じで、「“Ryo Kinoshita”というものは何なのか」と、あらためて自分で理解しようという流れから曲を作ることになって。その先にライブがあったというか。

――自分と向き合うために音楽を作り始めた、といいますか。

Ryo:そうです、そうです。本当にセラピーのような感じでした。

――セラピー的なものとして始まった音楽が予想以上の反響を受けているというのは、自信になりますよね。

Ryo:そうですね。……何も気にしなくなりました。周りからどう評価されるのかを何も気にしなくてよくなったというか。これは自分のやりたいことだし、それができていればいい。もちろん、誰にも理解されない音楽を作っているつもりはないですし、そのなかで自分らしさをどう表現できるのかという戦いはありますけど、「こういうものをやらなきゃいけない」とかがないから、すごく自由にいろんなことを表現できているなと思って。バンドを始めた時からずっと戦いの人生だったんです、あらゆることに対して。でも、Knosisが始まる時は、そういうプレッシャーから解き放たれていて、今も単純にのびのびやれている。自分が表現したいことを100%で表現できている感じがしますね。

――逆に言うと、Crystal Lakeの時は周りからの評価が気になったり、バンドらしさにとらわれてしまうようなこともあったということでしょうか?

Ryo:あえて自分から狭めてしまっていたというか。自分は逆張りの人間なので、たとえば流行っているものがあったとして、それに対してどうしてもカウンター的な表現をしたくなっちゃうんですよね。そのなかで、当時Crystal Lakeでは最先端のメタルコアを取り入れつつ、そうじゃないところを探していて。そうしたら、それが気づけば型になっていた。すごくいいことなんですけど、それがコピーされて、みんなが真似をするようになっていって。

――カウンターとして始めたはずのことが、いつのまにかシーンのなかでひとつの型になってしまった。

Ryo:そう。だからKnosisでは、それに対するカウンターを作っていきたいというか。“自分自身に対するカウンター”というなかで、どうやったら幅を広げられるかを探しています。

――Knosisは「“Ryo Kinoshita”とは何か」ということを考えるために始めたということですよね。現時点で見つかった“Ryo Kinoshita”というのはどういうものですか?

Ryo:まだこれというものはないんですが、“いろいろなことができる”というのが逆に今は自分らしさなのかなと思っていて。前のバンドでもいろいろなトライはしていたんですけど、より自由な形でできるのかなと。たとえば、もっと歌を入れたり、もっとHIPHOP寄りなことをやったり、逆にもっとアンダーグラウンドなものを取り入れてみたり。しかも、Yoshも一緒に曲を作っている。彼の持っているエモやスクリーモ的な要素、歌心とか、いろいろな要素が絡み合っているのがKnosisであり、Ryo Kinoshitaなのかなって。Crystal Lakeの時からYoshにはずっと「Crystal LakeのRyo Kinoshitaという表現者は、自分とYoshの表現が合わさってでてきているんだよ」と言い続けているんですけど、それがより音楽的な形で表われているのがKnosisなんじゃないかなと思います。

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