Crystal Lake脱退からシーンへの帰還 Ryo Kinoshita、「Knosis」始動とゲームへの心酔

Ryo Kinoshita、ゲームへの心酔

ゲームに自分たちの姿を重ね、そこに制作者の生き様を見る

――「厄災 [Yaku-sai]」で自身の内側の厄災と向き合って、次の「神喰 [KAMIGURAI]」ではそんなネガティブなものを客観的に見られるようになっている。ちょっと救われますね。

Ryo:“段階を経る”ということはKnosisのコンセプトでもあって。高校生の時に読んだダンテ・アリギエーリの『神曲』が地獄篇/煉獄篇/天国篇という3部作で、ダンテが地獄から天国に到達する様子が長編叙事詩として書かれているんです。だから、Knosisでも前作と今作『THE ETERNAL DOOM』、さらに次の作品で、どん底から這い上がっていく様子を3部作として表現したいなと思っていて。さらに、そのEPのなかでも這い上がっていく様子を表現できたらと思って、曲順も意識して配置しました。

――そういう意味では、今作のいちばん“上”にいる状態なのが「奈落 [NARAKU]」ですね。この曲の歌詞にはヒヤっとしました。

Ryo:かなり強烈な歌詞ではありますよね。状況として描いたのは、目の前に一発の弾丸が入った銃が置いてあって。本当にどん底の時って死を考えることもあると思うんですけど、その時のため、自分のために残しておいた一発の弾丸ですね。だけど、「本当に銃弾が必要だったのはお前なんじゃないの?」と自分のなかの攻撃性を表現した曲です。言っている相手は特定の誰かではなくて、自分のなかにいるもうひとりの自分で。結局、自分自身と向き合っているんですよね。ギミックとして曲の最後には銃の音を入れているんですが、引き金を引くとおもちゃの光線銃の音がするという皮肉を入れました。「神喰 [KAMIGURAI]」もそうですが、あえて笑える要素を入れたりシニカルにしたりして、ただ攻撃的なだけじゃない表現にしたかった。

――ちなみに「奈落 [NARAKU]」にゲームの要素は?

Ryo:入ってます(笑)。「神喰 [KAMIGURAI]」と同じシューティングゲーム(『DOOM』)もそうですし、『ARMORED CORE』というロボットゲームも。あとは漫画やアニメですけど、『攻殻機動隊』の要素も入れています。日本のSFやサイバーパンクも取り入れたかったんですよね。メロディにも浮遊感を出したりして、近未来感も意識しました。

――今回の3曲もゲームやアニメからの影響がかなり出ていますが、ゲームとの関連づけはKnosisとしては意識して取り入れていることなのでしょうか?

Ryo:最初は自然と出てくるだけだったんですけど、あらためて分析してみると、自分が考えていることと一致する部分があって。あえて入れることもありますが、取り入れるにしても自然な形で入れたいと思っています。やっぱりゲームをやることには罪悪感が生まれるんですよ、「音楽作らなきゃいけないのにな……」と思いながらゲームをやるので(笑)。でも、そういう時に「いや、これも歌詞のためだ」と思える。ゲームって仮想世界であり、別次元の自分の人生でもあるので――ってめちゃめちゃよく言っていますけど(笑)。

――(笑)。でも、先ほど「俺らの人生みたいだよな」とお話しされたというエピソードもありましたし、“別次元の自分の人生”であることは間違いないですよね。

Ryo:あとはゲームには、作る人たちの哲学や人生も詰まっている。音楽制作と同じなんですよね。そこに生き様が見える。「作った人はどう思っているんだろう?」とか「これにはどういう背景があるんだろう?」とか、そういうことを考えることで歌詞のストーリーテリングにも影響を与えているので、ゲームをやっていてよかったなと思います。

――Knosisの今後の展開としては、どのようなことを思い描いていますか?

Ryo:変わらずライブはしつつ、来年の夏くらいにはアルバムをリリースしようと思っています。実はアメリカツアーも決まりまして。アメリカをツアーで回って、ヨーロッパのフェスティバルシーズンにはフェスにも出て、もしかしたらアジアツアーもやるかもしれない。来年は今まで以上に忙しい年になりそうですね。来年は“Knosis Ver.1.0”になるイメージです。今がちょうど0.8くらいの感覚なので、1.0になってそこからガリガリ進んでいきます。

――鳴らす音楽や届ける内容としては?

Ryo:アルバムは、2作のEPの集大成なのでバンドサウンド寄りになる予定です。それがまず“Knosis Ver.1.0”。そのあとはさらに振り幅を広くしていこうかなと思っています。“Knosis Ver.1.0”でいろいろなことを経験して、いろいろなものを吸収して、その先でみんなが聴いたこともないようなものを生み出せたらいいなと。

――1.0のあとにどんなものが生まれるかは、Ryoさんにもわからないというか。

Ryo:はい。本当にその時次第ですね。Knosis 2.0、3.0……とバージョンアップしていくのが自分でも楽しみです。

Knosis『THE ETERNAL DOOM』ジャケット写真
『THE ETERNAL DOOM』

■リリース情報
EP『THE ETERNAL DOOM』
配信中

再生/購入リンク:https://big-up.style/tDzlvuRkGS

■ライブ情報
12月3日(日)【東京】渋谷 CYCLONE『Azami pre. FORWARD Release Tour2023 Final 薊の花も一盛り vol.16』
12月9日(土)【東京】渋谷 duo MUSIC EXCHANGE『SPARK!!SOUND!!SHOW!! Presents ”HAPPY DO BOUNCE!!” ALL-NIGHT』
12月14日(木)【奈良】奈良 EVANS CASTLE HALL『SiM "PLAYDEAD" WORLD TOUR SEASON 1』
12月19日(火)【三重】松坂 M'AXA『SiM "PLAYDEAD" WORLD TOUR SEASON 1』
12月28日(木)【東京】新代田 FEVER『VMO a.k.a. Violent Magic Orchestra END OF CENTURY vol.71』

Instagram:https://instagram.com/knosisofficial
X(旧Twitter):https://twitter.com/knosis_official

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