アニメ『薄桜鬼』から15年 吉岡亜衣加「十六夜涙」「舞風」、mao、黒崎真音……作品を彩った名曲の数々
月日を重ねても色褪せず、一層輝きを増し続ける作品が世の中にはいくつも存在する。新選組をモチーフとした作品『薄桜鬼』シリーズも、そんな名作の1つである。2008年に女性向け恋愛アドベンチャーゲームとして発売された本作は、アニメや舞台など様々なメディアミックスが行われており、現在でも新作ゲームの発売やミュージカルの上演、オーケストラコンサートの開催、自治体や企業とのコラボレーションなど、原作ゲームの発売から約16年半が経った今でも多くの人から長く愛されている。今年はTVアニメの第一期が放送されてから15年の節目を迎える。本稿ではアニメの楽曲を中心に、『薄桜鬼』を彩った数々の主題歌を振り返っていきたい。
『薄桜鬼』シリーズの楽曲を歌うアーティストとして、多くの人が”吉岡亜衣加”という名前を真っ先に思い浮かべるだろう。ゲームやアニメのOPテーマからドラマCDの主題歌まで、彼女が手掛けた『薄桜鬼』関連の楽曲は優に50曲を超える。作品にとってはもちろん、彼女の歌手人生においても『薄桜鬼』という作品は切っても切れない存在と言えるだろう。中でも、2010年に放送されたアニメ第一期『薄桜鬼』のOPテーマ「十六夜涙」は、彼女の名前を多くの人に知らしめることになった代表曲の1つ。激しさとたおやかさが共存した和風ロックの調べと、吉岡の優しくも凛とした歌声がマッチした楽曲である。
前奏の笛の音色が印象的な「舞風」は、吉岡が歌唱するアニメ『薄桜鬼 碧血録』OPテーマ。曲名どおり風が舞うように淀みなくスラスラと歌い上げるBメロの早口パートは必聴で、「十六夜涙」よりもアップテンポな、歌う側も聴く側もテンションが上がる楽曲となっている。大切な人を守りたいという強い意志が感じられる、雅な歌詞も印象深い。そして、2021年にリリースされたOVA『薄桜鬼』OPテーマ「刹那の鼓動」も上記2曲の流れを汲む和風なサウンドのアッパーチューン。より一層アニソン然とした疾走感と、吉岡の力強くも心地よいボーカル表現が癖になること間違いなしだ。
また、吉岡の担当したゲーム主題歌もアニメに引けを取らないほど名曲の宝庫。中でも、シリーズの始まりとなった2008年発売のPS2ゲーム『薄桜鬼 新選組奇譚』OPテーマ「はらり」は外せない。物語が進むにつれて儚さが増幅されていき、キャラクターたちの切ない運命が示唆された歌詞や、サビの〈はらりはらり〉の部分の吉岡の美しいファルセットなど、作品の主題歌として何度聴いても飽きない魅力が詰まっている。ほかにもPS4ゲーム『薄桜鬼 真改 風華伝』OPテーマとなったアッパーで流麗な和風ロック「一心 ~地の涯まで~」、胸が締め付けられるような楽曲に仕上がったニンテンドーDSゲーム『薄桜鬼 DS』OPテーマ「散らない花」、壮大な展開が印象的な『薄桜鬼 3D』OPテーマ「星標」など、紹介したいゲームの楽曲は数多くある。