なぜサッカーとロックは相性がいい? RADWIMPS、ONE OK ROCKからKing Gnuまで、歴代アンセムの共通項
サッカー観戦とロックバンドの楽曲は相性が良い。どちらも高い熱量を持っていて、触れた者の感情を昂らせるからだろうか。そのためか、サッカーがテレビ中継される時、疾走感あるロックナンバーがテーマソングとして採用されることが多い。現に歴代のNHKサッカーテーマソングを見てみると、ロックサウンドの楽曲が非常に多かった。
とはいえバンド/アーティストごとに楽曲の方向性は違う。おそらく“サッカー”というテーマに自身の個性や解釈を反映させて制作しているのだろう。例えば『2002 FIFAワールドカップ』のNHKテーマソングだったポルノグラフィティ「Mugen」は、ホーンの音色が印象的で聴いていて楽しく、一度聴いたら忘れられないキャッチーなメロディ、疾走感ある演奏も魅力的だ。当時から彼らはロックを軸にしつつも、第一線のJ-POPとして多くの人に愛される楽曲を意識して作ったのだと思う。
ロックとJ-POPを組み合わせるという意味では、RADWIMPS「君と羊と青」(2011年NHKサッカーテーマソング)もそうだ。ロックバンドらしく演奏は力強いが、メロディはキャッチーで、ロックに馴染みがない人でも聴きやすい楽曲になっている点は「Mugen」の持つ性質に近い。しかし、RADWIMPSの場合は歌のメロディに多くの言葉を詰め込み、演奏だけでなく歌にも疾走感を加えている。まるでサッカー選手がフィールドを駆け抜けている様子を表現しているかのようだ。
サカナクション「Aoi」(2013年NHKサッカーテーマソング)も、バンドの個性を取り入れながら疾走感あるロックナンバーに仕上がっており、BPMの速い演奏と繰り返しのメロディによって中毒性と高揚感を生み出している。さらに振り返れば、過去にはSuperfly「タマシイレボリューション」(2010年NHKサッカーテーマソング)や椎名林檎「NIPPON」(2014〜2016年NHKサッカーテーマソング)など、ソロシンガーも疾走感あるロックナンバーでテーマソングを担当している。
しかし、2017年のNHKサッカーテーマソングであるONE OK ROCK「We are」は、それまでとは違う方向性のロックナンバーとなった。疾走感ある楽曲でリスナーを興奮させるのではなく、壮大な演奏による迫力でリスナーを高揚させたのだ。しかも楽曲全体を彩るコーラスによってサポーターの心をひとつにし、揺るぎない一体感を生み出す手助けをしている。まるでみんなで一緒にスタジアムで歌っているような気分になれる楽曲で、新しい形のサッカーアンセムと言えるだろう。