FLOWだからこそ実現できる“本当のライブ” 2年ぶり全国ツアーで見せつけた最強セットリストによるステージ

FLOWが見せる“本当のライブ”

 今年メジャーデビュー20周年イヤーを迎えるFLOWが、4月29日に東京・Spotify O-EASTで昼・夜の2公演でライブを開催。現在開催中の約2年ぶりとなる全国ツアー『FLOW TOUR 2022「THE DIE IS CAST」』の一環として行われたもので、昨年リリースされた「DICE」やライブ2日前にCDリリースされたばかりのニューシングル曲「GOLD」を始め、「GO!!!」や「DAYS」など人気曲を次々と披露。“全曲が鉄板!”と呼べる最強のセットリストとステージングで、キャリア20年の凄みを見せつけた。

FLOW

 2003年にメジャーデビューを果たし、アニソンシーンはもちろん“ライブシーンにFLOWあり”と言わしめる存在感を、20年にわたり発揮してきたFLOW。その名は海を越え、地球の裏側のブラジルでもライブを開催するなど、FLOWにとって地球全体が大きなライブハウスとなったと言える。しかし2020年、新型コロナウイルスの蔓延によって、世界の様々な常識が覆され、FLOWの主戦場であるライブシーンも様々な制限を余儀なくされた。だからと言って、指をくわえてただ待っていることはできない。“20年かけてライブを作って来た俺たちだからこそできる、俺たちらしいライブをやればいい”。賽は再び投げられた。

 ライブの醍醐味は、なんと言ってもステージと観客席との一体感だろう。音源だけでは感じることのできない、高揚感と幸福感が生まれる。観客の声出しが制限されコール&レスポンスができない中であっても、それを実現することはできる。FLOWのライブは、コロナ禍のライブのあり方のお手本のようなステージで、会場を熱狂の渦に巻き込んだ。

FLOW

 ライブは序盤から熱い楽曲の応酬となった。アッパーのヘヴィサウンドが、ガツンと脳天を直撃する「衝動」では、巧みなラップが炸裂。観客がタオルを回し、会場が一体となって盛り上がる。軽快なビートが打ち鳴らされる「集中治療室-I.C.U-」では、TAKE(Gt)がお立ち台で観客をあおるように激しいギタープレイを展開。KEIGO(Vo)がデスボイスを聴かせるメタルナンバー「JOY TO THE WORLD」では、曲に合わせて観客は激しく首を揺らしてヘドバン。この日ももちろん“JOY神”が降臨し、KEIGOの仮面も進化したギミックで観客を驚かせ、最後はキュンポーズでキメるお茶目っぷりも。

FLOW
 歓声の代わりに、グッズの“ゴールデン鳴子”の音が鳴り響く会場。MCではそのことに触れ、「ほら、北海道のアイヌのアニメで」「それは『ゴールデンカムイ』だろ!」と、同じ高校出身だからこその、あうんの呼吸でトーク。「こんなにもライブができない日が続くとは想像もしていなかった。でも2年半、そんなに悲観はしていなかった。来るべき今日のために新曲も作った。思いは全部、新曲に込めた」とKEIGO。このコロナ禍に発表された、胸を熱くさせる楽曲も多数披露された。

 心にしみるバラード「燈」は、〈心を取り戻すように〉という歌詞が、FLOWのツアーが2年ぶりに帰って来たことや、ライブという空間でこそ感じられるものがあることとも重なった。ロウソクが揺れるようなライティングも印象的で、この小さな炎が多くのファンにとっての道しるべになっていることを感じさせる。また「モメント」は、キラキラとしたおしゃれなサウンドで、コロナ禍を憂うことなく新しい未来を創造しようと聴く者を鼓舞した。そして「United Sparrows」では、聴く者の手を引くようなKOHSHI(Vo)とやさしく抱きしめるようなKEIGOのボーカルが印象的。EDMの淡々とした、しかし熱さのあるビートが彼らの思いと共に胸に響く。観客は手を揺らして楽曲に心酔した。

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