FLOWだからこそ実現できる“本当のライブ” 2年ぶり全国ツアーで見せつけた最強セットリストによるステージ
KEIGOは言う。「この20年、たくさんの曲を作ってきた。みんなとライブを作ってきた。でも、俺たちが本当に作ってきたのは“つながり”だった。それをこれから、もっと強く、太くしていきたい」。
この20年で培った“つながり”によって生まれた、FLOWのライブの名物もこの日復活した。「GO!!!」では「久々にウェーブ行きますよ! 2年ぶりのツアーなので、超でっかいBIG WAVEをお願いします!」とKOHSHI。観客は一旦しゃがんで、メンバーの合図で順番に立ち上がって手を挙げていく。この2年、ずっと欲していた、恋い焦がれていた光景を、目に焼き付けるように、右へ左へとうれしそうに何度もステージを往復するKOHSHIとKEIGO。観客も、何度もしゃがんだり立ったり手を挙げたりしながら、客席には笑顔が溢れた。「きっと明日、腰とか足とか痛いと思うけど、それは今日を楽しんだ証だから!」。観客が2年、待ち望んでいた楽しみが、この曲に詰まっていた。最新ナンバー「GOLD」は「GO!!!」の進化形とも呼べるエモーショナルなロックチューンで、熱さと前向きさ、かけ声、ジャンプなど、FLOWが培ってきた20年がすべて注ぎ込まれた。歌詞には、コロナ禍で気づけたことに価値があることや、常に逆境と闘ってきた20年があったことを感じさせるフレーズも。「全部出しちゃえよ!」とKOHSHI。最後に「でっかいジャンプしようぜ!」との誘いで、曲に合わせて全員で大ジャンプして締めくくった。飛びすぎて着地に失敗したKEIGOも、床を転げ回りながら何だかすごくうれしそうで、その表情が全てを物語っていた。
大型ビジョンや特効を使った派手な演出がなくとも、観客をこれほど熱狂させることができる。ライブシーンにおいて鉄板や定番は、時に予定調和と言われる場面もあるが、コロナ禍のライブにおいて、それを持つことの意味と強さをこれほど感じたことはない。ロックバンド本来のライブのあり方を、20年地道に続けてきたFLOWだからこそのステージ。それは、まさしくライブの原点と呼べるものだった。
ライブでは他にも、楽器陣によるテクニカルなインストゥルメンタル演奏や、5人並んでのダンス、当日の観客が曲を選ぶ「日替わり曲」も。全方位から余すことなく楽しませてくれる。
これを観たかった、聴きたかった、楽しみたかった。“本当のライブ”を久しぶりに観た気がした。