スガ シカオ、極上のアンサンブルで祝福した25年間の音楽人生 The Family Sugar迎えた『Special Live』をレポート
2月26日、中野サンプラザで『スガ シカオ 25th Anniversary Shikao & The Family Sugar Special Live』を観た。東京と大阪だけで開催されたデビュー25周年ホールコンサート。しかも、かつてスガ シカオを支えた鉄壁のバンド「The Family Sugar」が、15年ぶりの再集結。スガ シカオと仲間たちの長く深い絆、そして満員の観客一人ひとりの思い出を乗せて、誰もがここにいることに喜びを感じる、愛に溢れた祝福のパーティとなった。
「スガ シカオ25周年、スペシャルライブにようこそ。今日は“ファミシュガ”と一緒だぜ。最後まで楽しんでくれ!」
1曲目「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」を歌い終えたところで、高らかに叫ぶ。洒落たピンストライプのスーツに金髪、そしてアコースティックギター。「序盤からグイグイ乗ってくぜ」と宣言し、「夜明けまえ」「正義の味方」と、アッパーな曲を重ねて一気に波に乗る。フェイクの量がいつもより多いのは、ノッている証拠だ。かと思えば「JOKER」を挟んで「夕立ち」から「AFFAIR」へと、グッとスロウでムーディな曲を連ねてさらに深みに誘う。スガも絶好調だが、なんといってもThe Family Sugarがすごい。森俊之(Key)、沼澤尚(Dr)、松原秀樹(Ba)、間宮工(Gt)、大滝裕子(Cho)、斉藤久美(Cho)。グルーヴが大きい、懐が深い、情に厚い。15年ぶりとは思えない、完璧な連携で圧倒する。
「歌っていて気持ちいいんだから、聴いてる人はもっと気持ちいいだろうな」
今宵のスガ シカオは舌も滑らか。「25年前の今日、デビューシングル(『ヒットチャートをかけぬけろ』)がリリースされた時、俺はまったくノーマークの存在だったけど、今、その時に注目されてた奴は全員いないぜ」ーーもちろん冗談だろうが、冗談に聞こえない。スガ シカオの原動力はいつだって、強烈な反骨と自信。「生き延びてやるぜ。端っこにぶら下がりながら」というセリフに笑いながらも、スガ シカオの25年はそういうものだったとしみじみ思う。たぶん、これからもきっと。
スガ、森、間宮の3人で奏でる「ふたりのかげ」と、間宮とのアコースティックデュオで歌う「ぼくの街に遊びにきてよ」。聴き手として、25年間でスガが大きく変わったと思うことの一つは、ギターの表現力。この10年ほど、アコースティックギター1本の『Hitori Sugar』シリーズで鍛えられた、歌心あふれる爪弾きが素晴らしい。間宮に頼っていた初期の頃に比べ、「だいぶ、ついていけるようになったかな」という言葉は本音だろう。再びバンドを呼び込んでのメンバー紹介も、リラックスして実に楽しげだ。
一体、何小節にわたって弾きまくったのかわからない、森のとてつもないエレクトリックピアノのソロを堪能する「日曜日の午後」から、「トワイライト★トワイライト」「アシンメトリー」へと、再びアップテンポのファンクビートが走り出す。「アシンメトリー」のイントロ、コーラス隊との掛け合いもばっちり決まった。忍びの間宮、決して前に出ないワウギターのカッティングが実に効果的。そしてイントロのリズムボックスでどよめきが起きた、永遠の名曲「黄金の月」。このグルーヴ、このリリック、このボーカル。儚くて、切なくて、怖くて、優しい。それが唯一無二のスガ シカオの世界観だ。