EXILE ATSUSHI、843日ぶりの“復活”で響かせる愛と感謝 生き方が反映されたツアー初日を観て

『EXILE ATSUSHI LIVE TOUR 2025 “Heart to Heart” 〜復活祭〜』初日公演が、4月12日にさいたまスーパーアリーナで行われた。2024年9月に活動再開を発表したEXILE ATSUSHIにとっては、『EXILE LIVE TOUR 2022 “POWER OF WISH” 〜Christmas Special〜』東京ドーム公演(2022年12月21日)から843日ぶりのライブ公演。開演前の囲み取材では「みなさんと同じ目線でありがとうねと言って登場したい」と意気込みを語った。EXILE ATSUSHIとして歩んできた「生き方が反映」されたという言葉通りに幕を開けた初日公演をレポートする。
ATSUSHI復活を心待ちにする2万人の観客が集結したアリーナ会場は、開演前からすでに熱気を帯びていた。『復活祭』のために自ら言葉を紡いだナレーションがしめやかに響く映像演出後、ATSUSHIが観客の前に現れた。「みんなありがとう」と何度も口にしながら、観客一人ひとりに手を振り、感謝を込める。客席中央の通路に敷かれたレッドカーペットを一歩、また一歩進む。
ステージへ上がる階段前まできて立ち止まったATSUSHIが、おもむろに手を合わせた。ステージ上に立つと客席に向かって今度は深く一礼。その佇まいが纏う白い衣装によって一際神々しく見えた。その右手を振りかざし、バンドが音を鳴らす。「『復活祭』にようこそ」と挨拶するATSUSHIのMCきっかけで、ギターが軽快なリフを掻き鳴らす。1曲目はツアータイトル曲「Heart to Heart」。スタンドマイクの周囲が一気に華やぐ。843日ぶりとは思えないほどエネルギッシュだ。

2曲目は、2ndフルアルバム『Music』から、リードナンバー「MAKE A MIRACLE」。出だしから会場との一体感を作るATSUSHIのご機嫌なギアは全開になる。完全復活を高らかに宣言するかのように、気づけば、ステージ上のATSUSHIがせり上がっている。勢いは止まらない。セットリスト3曲目には、4月1日にデジタルリリースされたばかりの最新シングル「Love Thang」を配置。心地よくキャッチーなメロウR&Bナンバーによって、客席が自由に身体をゆらし、歌い手も力を得てクラップを促す。ひたすらグルーヴィーな時間を縫って吹き鳴らすサックスソロ。この間奏を合図に、ATSUSHIは上手から下手へムーンウォークを開始。翻って上手へステップ。さりげない外連味に会場が沸く。実はATSUSHI本人は内側靱帯を痛めているというのだから、なおさら流麗な神業が極まる。
盛り上げに盛り上げた序盤から一度MC。改めて深々と一礼する。頭を上げてからもしばらくの間、客席を見つめる。完全復活の瞬間に立ち会うファンに対して「なんて温かいの!」と思わず語気を強める。「夢にまで見た光景が……、ありがとうございます」と言葉を繋ぐ。「復活したATSUSHI1000%を皆さんに見せる」とおどけながら、ファンへの感謝と愛を込めてコロナ禍に米米CLUB・石井竜也と作った「KAZE」を披露。しなやかに歌唱するATSUSHIが、ゆったり手を動かすと、客席のウェーブがシンクロする。サビのフレーズ〈心地よいKAZE〉が会場に吹き込んでくるようだった。
会場がここまで温まれば、そろそろバラード曲という絶妙なタイミングで、ファンから愛される名曲「響 〜HIBIKI〜」。流麗なストリングスが愛の伴奏者となり、自身の作詞による〈歌に身をまかせ〉と歌うATSUSHIが楽曲自体にどんどん導かれていく。エモーションが極まる歌唱後、胸に手をあてて一礼した。