原因は自分にある。「一生離してやんねえよ!」 楽しむ感情が与えた新しい世界と『嘲笑倫理学のすゝめ』

4月13日、原因は自分にある。が東京国際フォーラム ホールAにて、『LIVE TOUR 2025 嘲笑倫理学のすゝめ』の東京公演を行った。この日は昼と夜の2部構成。本稿では、2部の様子をレポートする。
ライブは、ほぼオンタイムでスタート。紗幕の向こう側に大倉空人、長野凌大、桜木雅哉、武藤潤、小泉光咲、吉澤要人、杢代和人の順にひとりずつ登場し、最後は横一列に7人が並ぶ。「Operation Ego」でライブのスタートだ。BPM200という速さのなか言葉を紡いでいく同曲は、ライブの幕開けに相応しい、まさに原因は自分にある。だからこその楽曲と言ったところだろう。「柘榴」で紗幕が上がり、7人全員はっきり姿を見せると「Mr.Android (feat. izki)」へ。小泉の透明感あふれる歌声、吉澤の低音ラップ、武藤の安定した歌声……と、それぞれのよさを見せつけていく。ダンスブレイクでは大倉が特大のスマイルを見せており、実に楽しそうだ。


とはいえ、彼らがライブのパフォーマンス中、ここまで笑顔を見せることは珍しい。その理由は、あとのMCでわかることとなる。大倉が「最高に楽しもうぜ!」とシャウトすると、「余白のための瘡蓋狂想曲」へ。吉澤も「行くぜ、東京!」と客席を煽っていった。それに続くのは、「Museum:0」。ボーカロイドと人間のハイブリッドのような同曲でさらに会場を熱くさせると、原因は自分にある。のライブらしく、ノンストップでオープニングパートを駆け抜けていった。
MCではあらためてひとりずつ挨拶。すると大倉が、「今回、僕たちメンバーが『会場の誰よりも楽しもう』っていう気持ちでライブに臨んでいるんですね。今までは『見せよう』。だから、(今回はメンバーの)みんなとパフォーマンス中に目が合うことが多いんです。『Mr.Android』の時、僕ニッコニコだった(笑)」と楽しそうだった理由を明かしていた。さらに「メンバーと目が合うとニコニコしちゃう」と同調していた杢代が「光咲は最初真顔なの。『Museum:0』の時に俺が光咲にこうすると(ふたりが絡むフォーメーション)こうなる(はにかむ表情)」と語ったり、吉澤が「雅哉はいつもニコニコなんだけど、自分のなかで『やべっ!』ってなった瞬間真顔になる」と語ったり、パフォーマンス中のメンバーの様子を伝えていく。すると長野は「(ツアータイトルの)『嘲笑倫理学のすゝめ』はチームげんじぶで考えた造語。げんじぶの世界観だったり、げんじぶが作りたいもの、げんじぶがこういうグループだというものを存分に知ってもらうライブにしたいなというところから、このタイトルを考えました」「このライブを観れば、会場の皆さんも、配信のあなたも、げんじぶについて知ってもらえると思います」と語った。


まだまだライブは続いていく。「青、その他」「結末は次のトラフィックライト」「545」の3曲を通して衣装チェンジ。シャツにスラックスというかっちりめの衣装に変わると、新曲の「多分、僕のソネット」へ。ステージとモニターに映されている映像がメンバーの動きとリンクしており、UFOに乗っているかのようなパフォーマンスだ。視覚的にも楽しんでいると、「チョコループ」へ。大倉、小泉、吉澤と、桜木、長野、武藤、杢代の二手に分かれ、ステージの端まで広がって観測者(ファンの呼称)たちと距離を縮めていく。サビでは「みんな、一緒にいくよ!」と、観測者たちとともに踊っていった。「推論的に宇宙人」でも楽しそうな空間が続き、隠れ自己紹介曲である「GOD 釈迦にHip-Hop」へ。楽しそうにワイワイとパフォーマンスしている姿に、こちらまで笑顔になってしまうほどだった。

続くMCでは、いつも進行を担当している大倉に代わるメンバーを決めるMCジャンケンをすることに。気になる勝敗の結果は、1部と同じく吉澤! 「昼の部で持ちネタが切れた」と言う吉澤だったが、5、6年履き続けている革靴の底が左右両方とも取れてしまったというエピソードトークをしっかり披露していた。ここで、吉澤が箱のなかから引き当てた楽曲を披露する日替わり曲コーナーへ。笑いを噛み殺している吉田が何を引き当てたのかワクワクしていると、出たのはシークレットの「ジュン手笛」。これは、武藤が手笛で彼らの楽曲を披露するというもの。ひとり、ステージに立つ武藤。まずは口上からだ。

「僕、好きな図形があるんだよね。それは、皆さんの日常でもよく見かけることがある図形。すごいことに、全部の角度を足すと180°になるんだよ。その図形はたまに関数になって現れることがある。(手笛で音を鳴らしながら)サイン、コサイン、タンジェント。それでは聞いてください。『夏の二等辺大三角形』」と語り、手笛で演奏。「みなさん、どう? 空に夏の大三角形が見えるといいな」――そんな言葉で締めるというなんともシュールな時間が流れると、会場からは大歓声と拍手が巻き起こった。さらに、「ジュン手笛」が出ると、もう一曲日替わり曲が聴けるそう。あらためて吉澤が引いたのは「ケイカクドヲリ」。桜木が「東京、楽しまないでどうすんの?」と会場を煽り、バチバチのパフォーマンスを披露していった。

