突如現れたHIPHOPグループ、謎に包まれた4人組=oops cool J-POPへの憧れと等身大の歌

oops coolが語る“J-POP”への憧れ

 昨年9月、YouTube上に突如現れた謎の覆面HIPHOPグループ、oops cool。初の楽曲「Too busy work」はSNSを中心にたちまち拡散し、Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」で1位を獲得するほどの人気を集めた。登場時に“令和のRIP SLYME”とも評された彼らは、その後、11月に2ndシングル「青春GAMEOVER」、今年2月に3rdシングル「スキャンダラス」をリリース。ゴキゲンなトラックと4MCによる楽しさ全開のマイクリレーで底抜けのパーティー感を演出し、そのポップな魅力でネクストブレイクアーティストとして大いに期待されている。全員社会人経験ありで、“プロ素人集団”と自称する彼らは一体何者なのか。Peppu、WANTAI、NiseChi、Jariboyの4MCに、結成の経緯や顔出しをしない理由、音楽的バックボーンや今後の目標など、oops coolの正体を聞いた。(猪又孝)

社会人からHIPHOPグループへ――初めて詳細に明かされたoops coolの輪郭

oops cool インタビュー

――同級生により2024年に結成されたそうですが、どんな流れだったんですか?

Peppu:ある日、僕がひとりで居酒屋のカウンターにいたら、みんなが集まってきたんです。お酒を飲んで楽しくなっていくうちに高校時代の話になって。当時の僕は、本当は屋上で弁当を食べたかったんですけど、校則で屋上には入れなかったんですよ。自分たちは校則を守るタイプだったし、社会人になってもルールを守るような生き方をしていて。でも、「もっとド派手なことをしたかったよね」という話で盛り上がって結成しました。

――それこそ「青春GAMEOVER」のノリですね。

Peppu:まさしくそういう感じです。

――最初からラップグループをやろうと?

Peppu:そうです。僕らは高校時代にサイファーをしていた時期があって。その延長でラップミュージックが好きだったので、みんなが温度感を出しやすい音楽ということで、この形に着地しました。

――結成の言い出しっぺは誰だったんですか?

Peppu:僕です。

WANTAI:正直、「遊びで1曲作ろうぜ」というレベルだと思ったんですよ。でも、気づいたらデビューしちゃってた、みたいな。思い出作りだと思っていたので、いまだにびっくりしてます。

NiseChi:自分も最初は「またPeppuの変なノリが始まったな」という感じで。高校時代にサイファーをやっていて、一曲は曲を作ってみたいと思っていたので、いい機会だし乗っかった感じですね。

Jariboy:学生時代、PeppuやNiseChiと簡単な曲を作って遊んだりしていたので、またそれをやろうぜっていうノリかなと思ってましたね。学生時代はスマホで録音した程度だったんですけど、大人になったし「お金を掛けてスタジオで録ってみないか?」っていう話だったので、そのときは本当にノリでOKを出して。そうしたら、ここまで続いたっていう感じです。

――oops coolというグループ名は、どんなところから?

Peppu:みんなでいろいろ案を出し合ったんですけど、oops coolという名前は僕がパッと出したものです。同級生だったので“スクール”的な言葉は入れたいなと思っていて。oopsには「おっと!」という意味があるから、oops coolだと「おっと、かっこいい!」みたいな意味になるし、“スクール”も入るし、ニュアンス的にもかわいらしいし、自分たちのイメージにも合ってるな、と。我ながら渾身のグループ名が出たなと思いました(笑)。

WANTAI:ぐうの音も出なかったです。それまで出していた案がダメすぎて(笑)。

――Peppu(悪魔)、Jariboy(うさぎ)、NiseChi(ひつじ)、WANTAI(くま)と、メンバーそれぞれにキャラクターがついていますが、意図はあるんですか?

Peppu:バイブスですね(笑)。特に理由はなく、みんな直感で選びました。

――そのキャラクターの目出し帽をかぶっていますが、顔を出さない理由は?

WANTAI:恥ずかしがり屋が多いからです。

Peppu:現在進行形で社会人のメンバーもいるので、顔バレするのはよくないなと(笑)。

ELLEGARDEN、BUMP OF CHICKEN、RHYMESTER……それぞれの音楽的ルーツ

――みなさん、どんな社会人経験をしてるんですか?

WANTAI:僕は、絶賛社会人中なんですけど、ざっくり言うと商品提供ですね。お客さんに商品を作って、それを届ける人です。

NiseChi:自分は、もともと屋上にアンテナを運ぶ仕事をしていたんですけど、年々腰が悪くなってきたのでリタイアして。今はパソコンをカタカタする職業に就いてます。

Jariboy:僕は、THE 普通のサラリーマンという感じ。スーツを着て会社に行って、たっぷり残業して帰るっていう日々を送ってます。

――「Too busy work」さながらの生活。

Jariboy:まさにあの曲通りの生活です(笑)。

Peppu:僕は、車が駐車禁止の違反を取られないように、相方が戻るまでずっと車を運転している仕事をしてました。同じところをずっと左折し続ける、みたいな。でも、やり甲斐がないなと思って辞めました。

――同じところをグルグル回っていたんじゃ、人生、前に進めないなと。

Peppu:そう。確実に回り続けてると思ってましたから(笑)。

――ここからはHIPHOPとの最初の出会いなど、音楽的なバックボーンを教えてください。

Peppu:いちばん最初は、小さい頃に父親が車を運転中に流していた音楽になりますね。KREVAがよく流れてました。あとはRIP SLYMEとかRHYMESTER、BUMP OF CHICKENとか。中学生の時に運動会のダンスで踊った曲がRIP SLYMEの「太陽とビキニ」だったんです。なんか聴き覚えがあるなと思って、そこから自発的にHIPHOPに触れるようになりました。

WANTAI:僕は高校生の頃に『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)」とか『BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権』(BSスカパー!/以下『高ラ』)でMCバトルの存在を知ってどハマりして、しばらくはバトル動画をYouTubeで見漁っていました。その途中から、ラッパーたちが曲を作っていることを知って、楽曲で言うとSUSHIBOYSとかchelmicoとかの、どちらかというとワルとか金稼ぎじゃなくて、等身大のリリックを歌う人たちの方が好きですね。中学生の頃は湘南乃風が好きだったんですよ。聴き心地が好いなと思っていたのはラップが好きだったからなんだって、あとで気づいて。

――バトルラッパーだと誰が好きでしたか?

WANTAI:『フリースタイルダンジョン』のR-指定さんが強くて強くて。好きでした。そこからYouTubeでよく観てたのは、『高ラ』出身のMC☆ニガリa.k.a赤い稲妻さんとか、SAMさんとか、韻が気持ちいいラッパーが好きでした。あと

――じゃあ、ICE BAHNのFORKは?

WANTAI:好きです。リリックを文字起こしして、「うわ、韻がすごい!」となれるのがかっこいいと思っていて。「会場で聴いていたら韻だと気づくのかな?」と思うくらい、しれっと上手に固い韻を踏む人がかっこいいと思います。

NiseChi:自分の場合、高校の体育祭の時に、みんなで体操座りして並んでいたら、前にいた2人組が『高ラ』の話でめちゃくちゃ盛り上がっていて。僕は友達があまりいなかったので、その話に入りたかったんですよね。そこから『高ラ』とはなんぞやと思って、YouTubeでMCバトルを観始めました。自分の言いたいことを即興で音楽に乗せて言うっていう表現は知らない世界だったのでワクワクして、そこからラップの魅力にハマっていきましたね。ニガリさんや言xTHEANSWERさん、GOMESSさんとかが好きで。自分と同じくらいの年齢の人たちがステージに上がって堂々と自分を語る姿に憧れたというか、光って見えました。

――バトル以外のラッパーは?

NiseChi:無事に前列の2人とも仲良くなって、その子たちが聴いていたJinmenusagiさんとか電波少女とかを聴くようになりました。

Jariboy:僕は、ほかのメンバーのように『高ラ』とかを観ていたわけじゃなくて、中学、高校時代は、ロックバンドをめちゃめちゃ聴いてました。ONE OK ROCKとかBUMP OF CHICKEN、RADWIMPS、ELLEGARDENとか。でも、同級生なので3人からラップの話は聞いていて。ラップへの入口は、高校を卒業した頃に聴いたC.O.S.A.さんとKID FRESINOさんの「LOVE」だったように思います。「なんだ、この気持ちいい曲は!」という衝撃に駆られて、そこからハマりました。

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