Morfonica、リアルバンドとしてストイックに音楽を届ける姿勢 初の東名阪ツアー東京公演を振り返る
3度目の朗読劇では、一人ではないことに気づき、共に支え合っていくことで希望を見出した彼女たちが、未来への決意を届ける。
「私は未来を信じたい」
「手と手を取り合い、乗り越えていけるなら」
「きっと、ずっと、笑って咲いていられる」
ライブはいよいよクライマックスへ突入。バイオリンの美麗なイントロから一転、一気にヘビーロックな世界へと誘うカバー曲「Nevereverland」では、Ayasa、進藤、直田のフロント3人がステージの前方まで歩み寄り、客席を激しく煽る。mikaの生み出すど太いビートがオーディエンスの鼓膜を震わせる中、西尾もステージの前まで歩み寄ってソリッドなプレイを叩きつけていく。イントロでCO2が噴射された「flame of hope」では、疾走するサウンドで会場の熱量がさらに上昇。Ayasaと直田がステージ中央で寄り添いあいながらソロを弾くシーンを経て、後半は怒涛の盛り上がりを見せていった。
「人知れず咲く白い花」
「小さな小さな白い花」
「密やかに、だけど力強く“愛らしく”咲く、ハコベの花」
ツアータイトルでもある“Amabile(愛らしく)”の意味を込めた最後のナレーションが終わると、ディストーションのかかったギターの音色に続き、耳馴染みのあるバイオリンのメロディが流れ出す。本編ラストは、Morfonicaにとっての始まりの曲である「Daylight -デイライト- 」だ。そのバンドとしての存在感を感じさせる堂々としたパフォーマンスには、デビューからの約1年7カ月分の成長はもちろん、今年5月にZepp Hanedaで行われた2ndワンマン『Andante』からの進化もしっかりと滲んでいたように思う。
アンコールではメンバーが演じるキャラクターとして登場。それぞれの個性を感じさせるテンポの良い楽しい会話とともに、「ブルームブルーム」と「ハーモニー・デイ」の2曲を演奏。ファンからの割れんばかりの拍手に包まれながら、ライブは大団円となった。
朗読劇を挟みながら、全体でひとつの大きなストーリーを描き出した今回のライブ。本編ではMCを一切することなく、今の自分たちで表現できるすべてをストイックに届け切った彼女たちの姿には、リアルバンドとしての強い矜持を感じることができた。幻想的で抒情的という持ち味を軸にしながらも、幅広いサウンド感を自分たちのものとしていく彼女たちの未来には期待しかない。Morfonicaはまだまだこんなもんじゃないはずだ。ここからさらなる輝かしい景色をきっと見せてくれることになるのだろう。