Morfonica、リアルバンドとしてストイックに音楽を届ける姿勢 初の東名阪ツアー東京公演を振り返る

「人知れず咲く、白い花 小さな小さな白い花」
「密やかに、だけど力強く 明日に向かって咲き誇る」

 Morfonicaにとって3度目の単独公演であり、初の東阪Zeppツアーとなった『Morfonica ZEPP TOUR 2021 『Amabile』』。11月5日、ツアーファイナルとなるZepp Hanedaでのステージは、冒頭のナレーションに導かれるようにライブ初披露となる「Fateful...」で幕を開けた。

進藤あまね
直田姫奈
西尾夕香
mika
Ayasa
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進藤あまね
直田姫奈
西尾夕香
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 スモークが流れる幻想的なステージの上で凛とした佇まいを見せる5人。安定したバンドアンサンブルと流麗なバイオリンの調べがMorfonicaならではの世界を美しく提示していく。カバー曲「CQCQ」では力強くアッパーなサウンドでフロアを揺らし、サビでは無数のペンライトがカラフルな光の軌跡を描き出していた。

「ごきげんよう、Morfonicaです」(進藤あまね)

 そんな短い挨拶の後は、『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』の八潮瑠唯に焦点を当てたイベントストーリーを彩っていた「Sonorous」へ。全編で鳴り渡るAyasa(Vn)のバイオリンの音色により、瑠唯のリアルな思いがオーディエンスの胸を柔らかく満たしていく。

 オープニングから3曲を終えると、ステージ上では朗読劇が始まった。メンバーが演じる“花”や“蝶”が会話を交し合い、誰しもが“1人じゃない”ことに気づいていく。

「静寂に包まれる瞬間だって、ひとりぼっちじゃない」

「行こう。星をたずさえ、夜明けまで」

 そこで伝えられたメッセージを引き受けるように、再びバンドが音を奏で出す。ライブ初披露となるカバー曲「COLORFUL BOX」、会場が眩いほどの“金色”に染まった「金色へのプレリュード」が持つ心躍るポジティブなムードは、朗読劇との相乗効果によってより強い光を放っていたような気がした。今夏にゲームに追加された新楽曲「Secret Dawn」では、5人が交した約束を楽器と声に込めて響かせていく。メンバー全員が向き合った状態で歌われた〈ゆびきりげんまん〉のフレーズは、最高の胸アツポイントだった。

 2度目の朗読劇。ここでは、どんな困難な状況に直面したとしても仲間との絆が希望へと導いてくれることを伝えていく。

「選んだこの場所を、信じたい」
「雨に撃たれても、希望の言葉を紡ぐ」
「あるときは肩を貸し合って、あるときは互いを励まし合って」
「やがて空には一面の青が広がった」

 それはまるで、デビューするや否やコロナ禍によって活動がままならない状態になってしまったMorfonicaの状況が投影されているようでもあった。そんな様々な困難を乗り越えた彼女たちが手に入れた大きな成長と自信を証明するように、ロックな表情を詰め込んだカバー曲「V.I.P」でバンドとしての強さを見せつけていく。西尾夕香(Ba)とmika(Dr)による強靭なリズム隊が屋台骨を支え、その上でアグレッシブな音を鳴らす直田姫奈(Gt)とAyasa。進藤(Vo)はステージを左右に動きながら、会場の隅々にまで感情のこもった歌声を力強く放っていく。

 “優雅な”といった形容詞のつくことが多いMorfonicaだが、ここで見せたような荒々しい表情もまた大きな魅力だと思う。その後のカバー曲「月光花」での情熱的でエモーショナルな表情、カバー曲「深海少女」での美しくも激しく踊らせるグルーヴィなスタイルも含め、このパートではバンドとしての無限のポテンシャルと可能性をしっかりと感じさせてくれていた。

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