NOA、Ayumu Imazu、INTERSECTION……“逆輸入アーティスト“増加の背景を考察
海外でアーティストとしてのスキルやセンスを磨き、それを自らの独創性やアイデンティティに結びつけているニューカマーが次々と登場。音楽シーンの新たな潮流を生み出そうとしている。本稿では、“逆輸入アーティスト”の有望株3組をピックアップ。それぞれのキャリアと魅力を紹介し、その背景にあるものを考察してみたい。
NOA
まずは昨年1月に1stデジタルシングル『LIGHTS UP』でデビューを果たしたNOA。彼がアーティストを目指したきっかけは、BIGBANG。テレビで観た彼らのパフォーマンスに衝撃を受けたNOAは、「この人たちみたいになりたい」という衝動だけで韓国に行き、YG ENTERTAINMENT(BIGBANGをはじめ多くのアーティストを輩出している芸能プロダクション)のタレントが通う美容院でスカウトされ、そのまま日本人初の練習生としてレッスンを受けることに。6年間に及ぶレッスンのなかで、ボーカル、ダンス、楽曲制作の基礎を学んだ後、2018年に「グループではなく、ソロアーティストとして発信したい」という希望をとともに帰国。2020年から日本で本格的な活動をスタートさせた。
昨年6月にリリースした「TAXI feat.tofubeats」がタイのSpotifyバイラルチャートで1位を獲得するなど、国内外で徐々に注目度を高めたNOAは、今年8月にシングル「LET GO feat. JEON WOONG(AB6IX)」でメジャーデビュー。JEON WOONGとは練習生時代から交流があり、東京とソウルで撮影されたMVでも気の合ったパフォーマンスを見せている。さらに9月には「Don't Waste My Time」、10月には「Highway」をリリース。日本語、韓国語、英語のトリリンガルであることを活かし、国境を越えてファンと交流できるのも彼の大きな武器だ。
Ayumu Imazu
続いては、Ayumu Imazu。アメリカと日本を行き来しながら活動している、2000年生まれのシンガーソングライターだ。NOAのヒーローがBIGBANGなら、Ayumu Imazuの原点はブルーノ・マーズ。13歳のときにスーパーボウルのハーフタイムショウでのパフォーマンスに魅せられ、その翌年、弱冠14歳で単身ニューヨークに渡ったのだ。現地でボーカル、ダンス、コレオグラフ、ソングライティングなどを学び、アポロシアターのステージにも立った彼は、2019年にオリジナル楽曲「PARADISE」のMVを発表し、本格的なアーティスト活動を開始。今井了介のプロデュースによる「チーム コカ・コーラ」の公式ソング「Colorful」への参加、TiKTokへのカバー動画投稿(「Not Into You」(Brooksie)をはじめ、「Butter」(BTS)、「夜に駆ける」(YOASOBI))など、様々なプロジェクトやメディアで存在感を高め、今年8月に「Juice」(作詞:Ayumu Imazu 作曲:Chris Wahle, Didrik Thott 編曲:Chris Wahle)でメジャーデビューを果たした。
Ayumu自身も制作に関わったこの曲は、ネオソウル、EDM、ハイパーポップなどの流れを感じさせるトラックと、解放的なバイブスに溢れた歌が印象的なナンバー。MVの振り付けも彼自身が担当し、ダンサー、BMXライダー、スケーターなど、幅広いカルチャーを反映した映像に仕上がっている。
INTERSECTION
3組目はアジアを中心に人気を集めるINTERSECTION。メンバーのMika、William、Kazuma、Caelanは、全員が日本とアメリカのミックス。それぞれがニューヨーク、ハワイ、カリフォルニア、キューバで育ち、異なるバックグラウンドを持っている。オルタナR&B、ネオソウルといった10年代後半のグローバルポップに影響を受けたという彼らは、ソングライティング、トラックメイクにも才能を示し、瞬く間に注目度を上げ、2018年10月にデジタルシングル「Heart of Gold」でデビュー。
2018年にはSpotifyの「Early Noise 2018」、2019年の初めには、YouTubeが選ぶブレイク期待アーティスト「Artists to Watch」に選ばれるなど着実にブレイクへの道を突き進んだ。昨年8月には8thシングル「New Page」でテレビアニメ『ブラッククローバー』エンディングテーマを担当。今年に入ってからも、Mikaが期間限定グローバルグループ「INTO1」、Kaz(Kazuma)やCaelanがソロ活動を行うなど、メンバー個々の動きも目立っている。既存のダンスボーカルグループの枠を超えた自由度の高さも彼らの魅力だろう。