SUPER★DRAGON 古川毅、影響を受けた“歌詞”を語りまくる 2010年代以降に登場した3名の作風

スパドラ古川毅『カタリタガリ』第2回

■Lucky Kilimanjaro・熊木幸丸

 最後はLucky Kilimanjaroの熊木幸丸さんです。熊木さんの歌詞は、メジャーに入ってから特に明快になってメッセージ性も強くなってきているように思っていて、それプラス、宇多田ヒカルさんがR&Bと日本語のポップスを見事に融合したことに近い、それをダンスミュージックでやっている方なんじゃないでしょうか。クラブDJの友達も「すごくいいよ」と言っていて、確かに「HOUSE」とか、がっつりクラブサウンド/ハウスで、踊ることに没入できるトラックなんです。でもそうなると歌詞が邪魔になることもある。何も考えず体を揺らしたいところに文字情報が入ってくるわけですから。でもこの「HOUSE」という曲の歌詞は、踊れるサウンドの一部としての機能と言葉の強さが両立しています。そこがカッコいいんです。

〈いわば部屋のプロフェッショナル
泣く子も黙るインドア派
外では恥ずいけどここでは踊り放題
骨を埋める覚悟よ〉

 引きこもりがちな人が、家(ハウス)でハウスをかけて踊る様や感情をひらすら書いているんですけど、〈骨をうずめる覚悟よ〉って、なんだかよくわからないような、わかるような、ユーモアも素晴らしい。ダンサブルなビートとともに、言葉もグルーブして自己肯定感がどんどん高まってきて、踊りたくなってくる。「ひとりの夜を抜け」もすごく好きな曲で、タイトルフレーズが頭の二拍前から一拍目に入ってくるんですけど、そこに何文字詰め込むんだって。トラックはハウスなんですけど、あのキャッチーさはヒップホップの言葉のはめ方からきているんじゃないかと思います。Lucky Killimanjaroの曲は、熊木さんの音楽的な懐の深さを感じますし、一切妥協せずにバランスを追求した結果、新しい感覚のポップスになっている。これからますます世の中に広まっていくと思います。

Lucky Kilimanjaro「HOUSE」Official Music Video

 『古川毅のカタリタガリ』、2回目は“歌詞”をテーマにお届けしましたが、いかがだったでしょうか。共感できることも、気づきを与えてくれることも、その時点の自分では何を言っているのかわからないことも歌詞の魅力。読めたからって額面通りとは限らないし、作家ですら自覚していない意味もあるかもしれない。そう考えると、“捉え方は人それぞれ”だとよく言われますけど、直感的にはよくわからないものも含めて、できるだけいろんな音楽に触れて、日々学ぶことを止めずに経験を積んで、より豊かで面白い解釈ができるようになったほうが楽しい。そして、そこで得たものをSUPER★DRAGONの表現に落とし込むことで、今度は僕らが誰かの生活や人生に残るものを作りたいし、こうして音楽活動をやると決めて走っている以上、そうでなければならないと思っていますので、これからもよろしくお願いします。

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