BTS、ザ・ウィークエンド……『第63回グラミー賞』ノミネートへの賛否 「BIG4」選出に必要な要素と求められる透明性

ザ・ウィークエンドの不在がノミネーション議論の主役に

 「今年の顔」たるスターが競うグラミー賞の「BIG4」だが、今回は、黒人歌手ザ・ウィークエンドの不在こそノミネーション議論の主役となってしまった。2019年11月、早々にリードシングル「Heartless」でHOT100の頂点をとり、その後アルバム『After Hours』と共に年間最大級ヒットシングル「Blinding Lights」で数々のBillboard記録を樹立していった彼こそ、2020年を代表するアーティストと言って過言ではない。それにも関わらず、「BIG4」最有力候補とされていたウィークエンドは、主要部門とサブカテゴリを含めて、一つもノミネーションを授からなかったのだ。有力候補が落選した近年のケースとしては、第60回のエド・シーラン、第61回のテイラー・スウィフトが挙げられるが、この2人の場合、サブカテゴリたるポップ部門には入っていた。そのため、ウィークエンドのゼロノミネーションは「締め出し」のように見える異例の事態と言える。

 「グラミーは腐敗したままだ。俺とファン、音楽産業に透明性を示すべきだ」(参照)。当のウィークエンドも黙ってはいなかった。彼によると、グラミー賞とは授賞式でのパフォーマンスも協議していたようだ。半ばアワード側の不正を指摘する彼に多くのセレブリティたちも続いた。ソフィー・ターナーら俳優陣も支援を表明していったどころか、「BIG4」ノミニーであるドージャ・キャットすらアワード側を糾弾するツイートをライクするに至っている。なかでも注目されたのは、第61回授与式でグラミー賞を実質的に批判したドレイク(参照)の投稿である。「もうやめるべきだ。毎年、影響力ある音楽とアワードが乖離していることにショックを受けるのは。かつてアーティストにとって最高の栄誉だったことが、今や何の意味も持たないことを受け入れるべきだ」(参照)。

 この衝撃を受けて、タブロイドメディアTMZは「ウィークエンドがグラミー賞よりNFLスーパーボウルのパフォーマンスを優先したことで関係が悪化した」旨を報道し、アワード側が即座に否定する騒動も起きた。この説が多少なりとも当たっていたとしたら、第61回アリアナ・グランデの出演キャンセルに続くパフォーマンス関連のトラブルとなる。舞台裏のキャンペーンや賄賂の存在をほのめかした歌手ホールジーの告発にもあるように(参照)、グラミー賞授賞式は高視聴率と広告料を狙わなければいけないTV中継番組であるため、数字を稼げるスターのステージを重視する番組側の姿勢は想像に難くない。アワードとしての採択とビジネスのバランスは難しいところではあるが、今回のような騒動でドレイクやウィークエンドといったスーパースターの出演が減っていったとしたら、おそらく視聴者数と注目度の減少を呼ぶ。それはそのまま、アワードの権威低下につながるのではないか。

■辰巳JUNK
平成生まれ。おもにアメリカ周辺の音楽、映画、ドラマ、セレブレティを扱うポップカルチャー・ウォッチャー。著書に『アメリカン・セレブリティーズ』(スモール出版)
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