“小説+音楽”のクリエイターユニット YOASOBI、第2弾楽曲「あの夢をなぞって」も好調 バイラルチャート躍進の理由を探る
“小説+音楽”のスタイルを確立
音楽はどんなカルチャーにも溶け合える存在だ。とりわけ小説との相性は非常に良い。過去にもTM NETWORKのアルバム作品やコンサートと連動した小説『CAROL』が話題となり、ボーカロイドプロデューサー・じんが楽曲と連動した『カゲロウプロジェクト』としてシリーズ累計発行部数900万部を記録した小説『カゲロウデイズ』を大ヒットさせた事例もある。そんな中、YOASOBIは小説を原作として音楽表現するスタイルを確立しつつある。ファンを巻き込み、音楽だけでは伝えきれない文脈を小説としてエンターテインする発明といえるだろう。
そして、YOASOBI第2弾楽曲「あの夢をなぞって」が1月18日より配信開始。原作は『monogatary.com』で行なわれたコンテストで『ソニーミュージック賞』大賞作品に輝いた、いしき蒼太の小説『夢の雫と星の花』だ。配信と同日に頃之介古論が手掛けたアニメーションによるミュージックビデオが公開されたばかり。解禁前、プレミア公開の時点から視聴者が3,000人を超え、1日で10万再生を突破するなどAyase史上最高の初速を記録している。
昨今では、ボーカリストとのコラボレーション楽曲を収めた羽生まゐごのアルバム『魔性のカマトト』初回限定盤には、アルバムの全容が把握出来る書き下ろし短編小説が付属していた。若手シンガーソングライターとして要注目のokkaaaも小説表現への可能性を公言している。“小説+音楽”は、2020年のひとつのトレンドとしてのキーワードとなるかもしれない。
また、イラスト(アニメーション)と女性シンガーによる切なき歌声が融合するセンスにも着目したい。同シーンでは、先行してヨルシカ、ずっと真夜中でいいのに。という二大巨頭が存在している。YouTubeのレコメンドシステムである“次の動画”に表示される際、イラストによるサムネイルは目を惹く。ある種のジャンル感の信頼にも繋がっているのだろう。
YOASOBIはオリジナリティが評価された好例に
『monogatary.com』では、YOASOBIの新曲を生み出すプロジェクト『夜遊びコンテスト vol.1』として次作以降の原作小説を募集開始している。すでに次なるステップはスタートしているのだ。
募集期限は2020年2月19日投稿分まで。表現者同士のあらたなコライト=共作を加速するコラボレーションに注目したい。
YOASOBIは、ネットで公募する小説カルチャー、YouTubeでのイラスト(アニメーション)動画とSpotifyでのバイラルチャートへのリストインを掛け合わせた結果、そのオリジナリティが評価された好例と言える。彼らを筆頭にネット経済圏で完結し躍進する、次世代音楽シーンの盛り上がりが加速しそうだ。
■ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
Yahoo!ニュース、J-WAVE、NHK、Spotify、LINE MUSIC、AWA、ミュージックマガジン、音楽主義などで書いたり喋ったり選曲したり考えたり。Spotifyで公式プレイリスト『キラキラポップ:ジャパン』を毎週火曜日更新で選曲中。Twitter
■リリース情報
「あの夢をなぞって」
2020年1月18日(土)配信リリース
MVはこちら
※1月18日21時公開予定。
作詞・作曲・編曲:Ayase
歌唱:ikura
MV:頃之介古論
原作:「夢の雫と星の花」(いしき蒼太 著)
「夜に駆ける」
2019年12月15日(日)配信リリース
作詞・作曲・編曲:Ayase
歌唱:ikura
MV:藍にいな
原作:「タナトスの誘惑」(星野舞夜 著)
■関連リンク
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小説・イラスト投稿サイト「monogatary.com」