缶缶、Aqu3ra、yama、あっとくん……未来に花を咲かせる歌い手の新星に注目

 歌い手として2010年に音楽活動を開始し、来年の3月25日には、東京ドームでの単独公演『ひきこもりでもLIVEがしたい!~すーぱーまふまふわーるど2020@東京ドーム~』の開催が決定している、まふまふをはじめ、彼と同世代の、そらる、天月-あまつき-など、当時からシーンを賑わせていた人気歌い手の銘銘が、音楽雑誌や地上波放送、イベントに登場し、満天下に知れ渡るようになったのは、ここ直近の顕著な動きだ。

 成長スピードは千差万別だが、その存在が確かな形になるまでには、平均でも10年ほどの年月が必要であったことが証明されたのではないだろうか。次々と念願の花を咲かせつつある彼らからは、当然目を離す余地はないが、今回は、いま、種を蒔き始め、未来に花を咲かせるだろう、若手の歌い手4名に焦点を当てる。

缶缶

 疾風怒涛の勢いで若年層のリスナーの耳目を集めているのは、今年の7月にYouTubeで、初のオリジナル楽曲「トリッパー/TRIPPER」を投稿した、缶缶。同曲は、胡乱な香りに誘われ、ジャンキーになっていく人の生き様を描いた、アッパーチューン。

【MV】トリッパー/TRIPPER【缶缶オリジナル】

 地声を活かした、エネルギッシュな歌声は、どこまでも澄み切っているが、ボーカルとしての手腕が光るのは、その点のみならず、フェイクが卓越しているところにある。缶缶の全楽曲のミックスを手がける、ボカロP・bizのYouTube個人チャンネルには、彼の狂気を漂わせた楽曲を缶缶が歌唱した作品が公開されている。缶缶のように、新たな歌声の側面を披露するための在り処をほかに設けることは、歌い手にとっての表現の多様化が進んでいることの証拠であるように思う。

yama

 昨今、誕生している若手の歌い手は、すでにボーカルとしての潜在能力が高かったり、個々人の活動と並走して、音楽、イラストレーターなどに分けたユニット単位で活動していたりと、一段とクリエイティブ要素を追求している傾向にある。そのなかのひとりとしてプッシュしたいのが、yamaだ。中性的、透明感、ハスキーの3つを共存させた歌声には、不思議と、世間を揶揄するひとりの少年が住み着いているかのように思わせるほどの生命力が感じられる。

 そんなyamaの人気を裏付けたのは、ショートムービーアプリ・TikTokで火が付き、現在、156 万回再生(11月24日時点)を突破した「bin」のカバー動画だ。その好調ぶりを経て、今年3月には同曲の作曲者・猫アレルギーとの音楽ユニット「BIN」を結成。どれも80万回再生を悠々と超える伸びを記録しているが、なかでも、少年の気持ちを代弁したような「チルドレン」は、300万回再生を記録し、勢いは止まりそうにない。これだけの反響が巻き起こっているのは、歌声、楽曲、さらには、イラストが共鳴し合ったことによるのだろう。

cover]bin/yama

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