“小説+音楽”のクリエイターユニット YOASOBI、第2弾楽曲「あの夢をなぞって」も好調 バイラルチャート躍進の理由を探る

YOASOBI、バイラルチャートで好調の理由を探る

Spotifyバイラルチャートをきっかけに発見され躍進したYOASOBI

 2020年1月9日、Spotifyバイラルチャート「バイラルトップ50(日本)」(1月2日~1月8日集計分)で、2位のLiSA「紅蓮華」を飛び越え急上昇したナンバーワン曲があった。クリエイターユニット・YOASOBIの「夜に駆ける」(原作:「タナトスの誘惑」(星野舞夜著))だ。YouTubeでも200万再生を超えた話題曲となっている。

 バイラルチャートとは、SNSで話題となった曲をSpotify独自のアルゴリズムでランキング化したものであり、アンテナを張っている音楽ファンとまだ知名度の低いアーティストをマッチングするメディアとしての機能も持っている。

バイラルチャート

 YOASOBIは、ソニー・ミュージックエンタテインメントが運営する小説・イラスト投稿サイト「monogatary.com」に投稿された小説を原作に楽曲化するボーカロイドプロデューサー・Ayaseと、歌い手・幾田りら(ikura)によるクリエイターユニットだ。

YOASOBI「夜に駆ける」 Official Music Video

 楽曲を手がけるAyaseは、2018年12月からYouTubeなどへの投稿をはじめ、2019年4月に投稿した「ラストリゾート」はYouTube再生260万回を超えている。11月27日にリリースしたAyaseによるボーカロイドプロデューサー作品『幽霊東京』にも注目が集まっている。

ラストリゾート / 初音ミク

 一方、ボーカリスト・ikuraはアコースティックセッションユニット・ぷらそにかでの活動でも注目を集めている逸材だ。個人名義、幾田りらとして2019年11月にミニアルバム『Jukebox』をリリース。可愛らしくも深みのあるボーカルでリスナーの心を掴んでいる。

 YOASOBIのサウンドの特徴は、ジャズやフュージョン寄りの鍵盤サウンドが織りなす疾走感あるビートチューンが解き放つ高揚感。ヨルシカやずっと真夜中でいいのに。から連なるボーカロイドを使用しない“進化系ボカロ文化圏サウンド”の系譜にあり、サビで弾けるエモーショナルさが魅力的だ。また、ikuraの透明感と芯の強さを持つ歌声もポイントに。楽曲と見事にマッチし、切ない世界観や登場人物の狂おしい感情を表現したボーカルはYOASOBIの魅力を形作る要素になっている。

 音楽ストリーミング時代、一見過去カタログやすでにファン母体を持つベテランアーティストが有利に思えるが、知名度無き時期にバイラルチャートをきっかけに発見され躍進したアーティストは、AmPm、King Gnu、フィロソフィーのダンスなど数多い。そして、公式プレイリストへとリストインしていき一般層にも知名度を上げていくのが面白さのひとつだ。フェスで毎年大きなステージへとステップアップしていく仕組みに近いのかもしれない。

キラキラポップ:ジャパン

 YOASOBIは、バイラルチャートでフックアップされた後、『キラキラポップ:ジャパン』、『太陽を見てしまった』といったSpotify公式プレイリストへリストインしている。トップを獲得して以降、1月21日時点でもバイラルチャート上位をキープし続けているのも興味深い。

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