“ボーカルの掛け持ち”が築く鮮やかなキャリア 中嶋イッキュウ、村松拓らの活躍から考える

 このように、別プロジェクトで活躍することによって、その前から所属していたバンドにも良い作用が働き、そのバンドマンのキャリアが鮮やかになっていく、というケースが今後も増えていきそうだ。たとえば、赤飯はコロナナモレモモ(マキシマム ザ ホルモン2号店)のボーカルとしてキャリアを積み、それに伴い、メインの所属バンドであるオメでたい頭でなによりの存在感を強め、自身のキャリアを鮮やかなものにしていく可能性を秘めている。

 これまでも、ある程度のキャリアを積んだバンドマンが趣味性を強めた活動をするためにソロプロジェクトを始めることはあったが、それとはまったく違う意味合いでボーカルが複数のバンドに参加する動きが進んでいる。それぞれのバンド/プロジェクトが相互に影響を与え、一人のバンドマンが複数のバンド活動を通じてキャリアを更新していくパターンが増えてきたわけだ。バンドマンからすれば、あらゆる場で経験を重ねることで、一つのバンドの中では発見できなかった新たな可能性を見つけることにつながり、リスナーからすれば、そのバンドマンを、またその所属バンドのことを知るきっかけがより増えていくことになる。そういった相互作用が、ロックシーンを活性化し、より面白い音楽が生まれやすくなる環境を作っていくことになるかもしれない。

■ロッキン・ライフの中の人
大阪生まれ大阪育ち。ペンネームにあるのは自身が運営するブログ名から。人情派音楽アカウントと標榜しながら、音楽メディアやTwitterなどで音楽テキストを載せてます。

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