Nothing’s Carved In Stone、スペシャルな光景見せた『Live on Novemver 15th』レポート

NCIS『Live on Novemver 15th』レポ

 生形真一(Gt,Cho)、日向秀和(Ba)、大喜多崇規(Dr)といった屈指のプレイヤーたちが集結し、村松拓(Vo,Gt)を迎えスタートしたNothing’s Carved In Stone(以下NCIS)。彼らの1stアルバム『PARALLEL LIVES』(2009年)に収録された楽曲の中に「November 15th」という曲がある。静寂の中でささやくような村松の歌声がバンドのタイトな演奏とともにサビにむかって盛り上がりを見せるエモーショナルな一曲だ。初期からライブの定番曲であり、リクエスト投票で選曲したライブアルバム『円環 -ENCORE-』(2015年)で投票1位に輝いた彼らの代表曲でもある。ゆえに“11月15日”は彼らやファンにとって特別な思いをもたらす日となっている。今年はそんな11月15日に、『Live on Novemver 15th』と題されたライブがEXシアター六本木で行われた。

 スペシャルな夜の幕開けを飾ったのは「Around the Clock」。生形の強烈なギターリフと身体に響く大多喜のドラムのビートによりオーディエンスは早くも熱狂の渦に。続けて「Chaotic Imagination」「Spilit Inspiration」といった各々がプレイヤビリティを発揮させる楽曲が披露された。間奏パートのプレイでは、改めて“各ポジションのエースが集まったバンド”であることを目の当たりにする。これだけのプレイヤーが揃えば、それぞれの個性がぶつかりあってしまいそうなところだが、NCISの場合はそれぞれがプレイを全力で楽しみ主張しながらも、バンドの強固なグルーヴが生み出されているのが特徴ともいえる。村松が以前バンドについて「4人で1つの生命体」と表現していたとおり、この4人だからこそ生まれる唯一のグルーヴがあるのだ。また、村松というボーカリストの存在がバンドにとっての要となっている。テクニカルな演奏が光る楽曲の中で柱となるのは村松の歌。バンド結成前、他メンバー3人が惚れ込んだというその歌声が、一つの楽器のようにセッションに加わることでNCISはバンドとしてはじめて成立する。

 生形のギターと日向のベースの掛け合いからはじまった「Crying Skull」では、それぞれのテクニックが絶妙に絡み合い一つのサウンドを作り出す。それはまるで建築物のように、一つ一つの音というパーツが緻密に組み立てられていくようだ。また、ギターソロが鳴ったと同時に大きな歓声があがった「The Brake」ではジャジーな間奏で村松のセクシーなボーカルを、「Brotherfood」では温かみのある音色にのせた柔らかい歌声を聴くことができた。その後の「MAZE**」「きらめきの花」はNCISの楽曲群の中でもダンサブルな側面を持つ。客席中央の天井からはLEDのミラーボールが現れ、会場が一気にダンスフロアと化した。

 村松が日本語詞で情感たっぷりに歌う「Red Light」を挟むと、「スペシャルどころか宇宙一のスペシャル」(村松)と紹介を受けて、ゲストプレイヤーのヒイズミマサユ機(Key)がステージに登場。11月2日にリリースされたばかりの新曲「Adventures」で共演した彼とのセッションが再び実現した。これまでシーケンスなどのデジタルサウンドを多用してきたバンドが、アコースティックによるシンプルなサウンドに挑戦した新境地とも言える一曲。村松が「すべての冒険者に捧げます。大切な曲です」と告げ、同曲の披露へ。ヒイズミの鍵盤が加わることで、洗練されたポップスの要素がNCISのサウンドにもたらされた。続けてヒイズミと披露した「Diachronic」ではオリジナルとは異なるアレンジが施され、オーディエンスはその音に酔いしれながら、スペシャルな光景を目に焼きつけていた。

 バンドの新たな一面を見せた後は、後半戦に突入。ライブは通常モードに切り替わり、「Gravity」「What’s My Satisfaction」「Bog」「In Future」と緩急つけたデジタル×ロックのNCISサウンドを響かせていく。勢いはとどまることなく「Milestone」「Out of Control」「Isolation」といったライブ定番曲を続けてプレイし、盛り上がりは最高潮に。ラストはバンドの変わらぬ意志が反映された爽やかなミディアムナンバー「Perfect Sound」を聴かせ、本編の幕を閉じた。

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