SHOKICHI、NESMITH、今市隆二、登坂広臣……EXILE TRIBE、ボーカリストの特性は?
今市隆二の特性を知るには、そのソロ活動に目を向けると良い。RYUJI IMAICHI名義で今年8月にリリースされた1stフルアルバム『LIGHT>DARKNESS』は、海外のコンポーザーを迎えて現行のR&Bに正面から挑んだ作品で、ファンのみならず耳の肥えた音楽ファンをも唸らせた。同作の中でもっとも注目すべきは、R&B界の巨匠ブライアン・マックナイトの自宅にホームステイして作り上げた「Thank you」だろう。家族や仲間、そしてファンたちへの溢れるほどの感謝の気持ちを歌い上げたこの曲は、ブライアン・マックナイト譲りの美メロもさることながら、RYUJI IMAICHIの温かく優しい人柄をそのまま乗せたようなハイトーンボイスに心洗われる作品である。高音の美しさと安定感は、今市隆二のボーカルの強みとなっている。
対する登坂広臣の音楽性は、4人の中でもっとも先鋭的と言えるかもしれない。HIROOMI TOSAKAの1stフルアルバム『FULL MOON』は、EDMシーンの巨匠Afrojackをプロデューサーに迎え、現行のダンスミュージックと日本語詞の融合に挑んだ、極めてオルタナティブな作品である。ソロとして初めて発表した楽曲「WASTED LOVE」から、その方向性は明確に示されており、サビをインストにする大胆な楽曲構成は話題を呼んだ。日本語の響きをダンサブルなトラックにどう当てはめていくかが登坂広臣の課題であり、そこにボーカリストとしての大きな可能性もある。
さて、今回披露される楽曲「Last Christmas」は、1984年に発表されたWham!の代表曲のひとつ。Wham!といえば、80年代のイギリスを代表するヒットメイカーであり、同時代に青春期を過ごした人々にとって、その楽曲群は懐かしくも温かく響くだろう。そして、時代を越える名曲を歌い継いでいくのは、EXILE TRIBEが掲げるコンセプトのひとつでもある。二代目、三代目のボーカリスト4人は、それぞれの特性を活かしながら、名曲「Last Christmas」に新たな息吹を吹き込んでくれるに違いない。
(文=松田“tissue”広宣)