リアルサウンド連載「From Editors」第96回：『地獄の果てまで連れていく』渋谷凪咲さんの笑顔が怖すぎる

　今期のテレビドラマは、『ホットスポット』（日本テレビ系）を筆頭に話題作が勢揃い。初回以降最新話を楽しみに観ているものが多かったのですが、途中から観始めて一気にハマったのが『地獄の果てまで連れていく』（TBS系）です。主演の佐々木希さんと一昨年NMB48を卒業した渋谷凪咲さんによるスリリングな復讐劇から目が離せません。

　佐々木さん演じる橘紗智子は、父親が殺人の罪に問われたことをきっかけに辛く苦しい高校生活を送っていました。そんななか唯一寄り添い続けてくれたのが、渋谷さん演じる後輩・花井麗奈です。笑顔が愛らしく人当たりのいい麗奈ですが、彼女にはもう一つの顔がありました。実は幼少期から動物や人に危害を加えてしまう“モンスター”だったのです。そんな麗奈が、紗智子にある人物の殺人の罪を着せて殺そうとするところからこの物語は始まります。なんとか生きながらえた紗智子は顔を変えて別人となり、14年後、子供が生まれたばかりの麗奈のもとへベビーシッターとして現れ、復讐を果たしていく……というのが大まかなストーリーです。

　1話20分でテンポよく進んでいくのであっという間に最新話まで追いついてしまいました。こういったサイコ系サスペンスのセオリーとも言える周囲の人々の爪の甘さはご愛嬌。ツッコミどころはありながらも、このドラマの最大の見どころはやはり殺人鬼を演じる渋谷凪咲さんの演技でしょう。佐々木さんから放たれるセリフの重みもさることながら、渋谷さんの怪演にはとにかく驚かされました。こんなに笑顔が怖い人は久々です。個人的には松本まりかさん以来の衝撃かもしれません。バラエティ番組での活躍はもちろん知っていましたが、こんなに演技で魅せる方だったとは。NMB48時代は表現力に対する評価も高かったということで、いろんなタイプの演技が見てみたくなりました。渋谷さんが『第48回日本アカデミー賞』で新人俳優賞を受賞した映画『あのコはだぁれ？』も気になります。ホラーは苦手ですが近々挑戦してみたいです。

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