ダーティ・ループスがチャート入り 日本における洋楽ロックの残された可能性とは

 大島優子、指原莉乃、北原里英、横山由依の「AKB太田プロダクション」ユニット、Not Yetのファーストアルバムが、封入されたイベント参加応募券効果もあって初登場1位。AKB卒業前に有終の美を飾ったことになる大島優子だが、卒業後は音楽活動を止めると宣言。つまり本作はNot Yetにとってファーストアルバムであると同時に、これまでのシングル曲をすべて収めたベストアルバム、そして(少なくとも現行のメンバーとしては)ラストアルバムとなる。

 2位の米津玄師『YANKEE』の売り上げは約3万1千枚。本作がメジャー移籍後初のアルバムとなる米津玄師。ニコ動発ボカロPが集まって設立されたインディーズ、BALLOOMからリリースされた2年前の前作『diorama』の初週売り上げは約2万5千枚だったから、メジャーデビューが相次ぐボカロPの先駆者の一人として、一応のメジャー効果を残したと見るべきか。もっとも、米津玄師の本作の音楽性に関しては(ボカロPハチとしての活動と並行していることもあって)、もはやボカロの文脈で語れるものではなく、またライブでの活動(おそらくはバンド形態となるだろう)も決定しており、ジャパニーズロックの新たな人気アーティストとして捉える段階に入ってきている。

 さて、今週注目したいのは10位のダーティ・ループスだ。リリース週は16位初登場、2週目となる今週になって一気にトップテン入りを果たしたスウェーデン出身のバンドだが、洋楽バンドのファーストアルバムのトップテン入りは、2006年のアークティック・モンキーズ『ホワットエヴァー・ピープル・セイ・アイ・アム、ザッツ・ホワット・アイム・ノット』以来、実に8年ぶりのことだという。

 しかし、アークティック・モンキーズとダーティ・ループスのブレイクの構造は何から何までまったく違う。デビュー前から(主に英国の)海外メディアを中心に騒がれ、そこにロッキング・オンに代表される日本の洋楽誌が乗っかって、海外と同時に日本でもブレイクを果たしたアークティック・モンキーズ。それに対して、ダーティ・ループスはYouTubeにジャスティン・ビーバーやアデルなどのヒット曲を貞操なくカバーした「演ってみた動画」をアップして注目を集め、J-WAVEに代表されるFM局の猛プッシュで日本のリスナーの間で認知を広げ、アルバムリリースのタイミングでプロモーション来日してのテレビ出演。それが、2週目のランクアップという結果につながったことになる。

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