『下剋上球児』鈴木亮平と黒木華の会話がドラマの推進力に 南雲の衝撃の事実も発覚

『下剋上球児』鈴木亮平と黒木華の会話が軸に

 客観的に見たら不安要素しかないのに、なぜだろう、高鳴る胸の鼓動を抑えることができないのは。『下剋上球児』(TBS系)第2話は前進の手ごたえと未来への期待を抱かせる放送回となった。

 恩師である星葉高校監督の賀門(松平健)と再会した南雲(鈴木亮平)は、教師を辞めるつもりであると明かす。大学を退学して以降、野球部同期の前から姿をくらました南雲はある秘密を抱えていた。野球部が始動し、顧問の山住(黒木華)はチームの強化に張り切る。甲子園出場を目標に掲げる山住に対して、南雲はまずは「夏に一勝」することを提案した。10年連続で1回戦敗退という負の歴史をストップすることが、“ないない尽くし”で自信を失っている生徒たちに必要だと考えていたのだ。「まずは楽しく」と話す南雲に、強豪校から赴任した山住は「高い壁を超えようとするから人は強くなれる」と説き、2人の主張は真っ向から対立する。

 実力勝負の高校野球に“底辺”の越山高校から挑む生徒たちは、厳しい練習と野球を楽しむことの狭間で自分らしさの葛藤に直面すると思われた。その予想は半ば的中し、半ば外れた。南雲が考えていた以上に彼らは打たれ強く、どんな状況でも野球を楽しめるマインドの持ち主だった。生活のすべてを野球に捧げ、規律と忍耐の積み重ねの上に栄光があるというのは、古い考えなのかもしれない。越山の生徒たちはシンプルに野球が好きで、ただ環境が整っていないことで競技から遠ざかっていた。意外性のあるプレーは、負け続けて、それでも野球をしたいと望んだ彼らがつかんだ楽しさという特権かもしれなかった。

 むしろ高校最後の大会で相手チームの注目打者を敬遠し、怪我で野球を諦めた南雲の方が野球に対して複雑な感情を抱き、ナーバスになっている節がある。その辺りは世代差もあるだろう。野球を通じた教育・指導の違いは興味深い。勝つために手段を選ばない野球ではなく、楽しみながら強くなることを考えていた南雲と、野球への純粋な思いから集まった越山の生徒の出会いは必然性があった。そんな越山ナインの野球を賀門が「めちゃくちゃだ」と評したのは当然の帰結でもあった。

 南雲と賀門、越山と星葉のどちらが正しいというのではなく、双方が同じフィールドで戦い、認め合えるのが野球というスポーツの素晴らしいところだ。エースの翔(中沢元紀)は元チームメイトの江戸川(清谷春瑠)と勝負し、児玉(羽谷勝太)と投げ合う中でエールを交わした。星葉1年チームの集中打を浴びて降板した翔に、南雲は1人じゃないと呼びかけた。

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