『大奥』青沼役を村雨辰剛が振り返る 源内役の鈴木杏は「役者としての引き出しが凄い方」

村雨辰剛、『大奥』青沼役を語る

 毎週火曜日に放送されているNHKドラマ10『大奥』Season2に出演中の村雨辰剛からコメントが寄せられた。

 原作は、3代将軍・徳川家光の時代から幕末・大政奉還にいたるまで、男女が逆転した江戸パラレルワールドを描いてセンセーションを巻き起こした、よしながふみによる同名漫画。Season1では、3代将軍家光(堀田真由)から8代将軍吉宗(冨永愛)までの物語が映像化された。Season2では、吉宗の遺志を継ぎ若き医師たちが、“赤面疱瘡”撲滅に向けて立ち上がるその後の物語から、女将軍をはじめとした幕府の人々が、“江戸城無血開城”のために奔走した幕末・大政奉還の物語を初めて映像化する。

 村雨が演じたのは、オランダ人と丸山遊女の間に生まれ、長崎で育った青年・青沼。平賀源内(鈴木杏)らとともに、“赤面疱瘡”の撲滅に向けて奮闘する。

 村雨は青沼を演じるにあたり、「自分の経験も思い返しながら」と振り返り、「周囲の人と容姿が違っていても、受け入れて貰えた時は本当に嬉しいし、落ち込むこともあるけれど、その何倍も嬉しいことがある。今作でもそういう描写があったので、自分自身とも重ね合わせながら役をつくることができました」とコメント。

 第13話で死罪を言い渡されたシーンについては、「末永創監督からもご指導頂きながら撮影しましたが、自分が感情的になっていて自分を客観的に見られなくなるので、監督から指摘して貰えるのは有り難かったです。まだ教え子たちに伝えたいこともあるけれど、話せる時間は僅かしかない。慌てながらも、自分の思いをしっかり伝えるというのは結構難しくて。僕も予想していなかったくらい感情があふれて、撮影しながら心臓がバクバクしていました」と当時の気持ちを明かした。

村雨辰剛(青沼役)コメント

青沼をどのような人物と捉えて演じたか

ほとんどの人が外国人を見たことがなかった時代。当時の日本人からすれば、“鬼”を見るような感覚だったでしょうし、差別もあっただろうと思います。青沼が当時の日本で生きていくには、強じんな精神、逆境の中で生きていくだめの洞察力が必要だったでしょうし、周囲に対しても、すごく敏感な人だったのかなと想像して演じました。

青沼を演じるために意識したこと

青沼に比べたら大したことなかったなとは思いますが、自分の経験も思い返しながら演じました。昔、周りの目を気にしてしまっていたことや、ネガティブな気持ちになったこと。青沼も長崎や大奥に来たばかりの頃はきっとこんな気持ちだったのかなと想像しました。そして、ネガティブな面だけではなく、ポジティブな面もそうです。周囲の人と容姿が違っていても、受け入れて貰えた時は本当に嬉しいし、落ち込むこともあるけれど、その何倍も嬉しいことがある。今作でもそういう描写があったので、自分自身とも重ね合わせながら役をつくることができました。

青沼にとって源内はどのような存在か、また、源内役の鈴木杏について

源内は色々な面を持っている人。勢いがあったり、コミカルな面もあったり、怒る時は怒って感情的になる時もある。源内を演じられた鈴木杏さんご自身も、役者としての引き出しが凄い方だなと思っていて、ご一緒出来てすごく勉強になりました。源内の第一印象は、青沼的には「何だ、こいつは」という感じだったと思いますが、仲良くなるにつれて、源内は青沼のポテンシャルを引き出してくれるし、互いに支え合っていくような関係性に変化していったと解釈しています。源内との出会いがなければ、青沼は長崎の狭い世界にとどまったまま。知識量もポテンシャルもあるはずなのに、生かしきれなかっただろうなと。それを自由に解放してくれたのが、源内だったのかなと思っています。多くの人が青沼に対して偏見を持つ中、源内は青沼を一人の人として向き合ってくれる。青沼にとっては欠かせない、パートナーのような存在かなと思っています。

黒木、伊兵衛、青沼の絆について

身分やヒエラルキーが絶対な世界なのに、講義部屋の中だけは、そういう厳しい縛りから解き放たれるような感じがあって。身分関係なく、フランクに皆が仲間になる感覚は、大奥の通常の空気とはギャップがあるし、素敵だなと思っていました。そんな講義部屋で育まれた黒木さん、伊兵衛さん、青沼の3人の関係姓も良いですよね。黒木さんは、最初は冷たくて嫌な感じ、感情を押し殺して生きているようだったのが、青沼と出会って講義部屋で時間を共にするうちに、彼がどんどん人間らしく変化していく。伊兵衛さんは当時には珍しく、相手が誰であろうと言いたいことを言える面があったり、「俺はどうなってもいい」と先陣をきって皆をひっぱってくれるところもあったり。3人のバランスも良いし、関係性がすごく素敵だなと思いながら演じていました。

第13話で、死罪を言い渡されたときの青沼の思い

もちろん悔しかったと思います。若いですし、やり残したことも沢山ある。もっと生きたい、世のために働きたい、役に立ちたい、ありがとうって言われたいという気持ちはあったでしょう。でも、彼が何より先に思い浮かべたのは、教え子たちのことだったのかなと想像しました。次世代に残したい自分の知識や技術を受け継いでいる教え子たちは、これからも大奥の外で生き続けてくれる。皆が死刑になってもおかしくない時代だったと思うので、「私だけでよかったんです」というセリフもあるように、教え子たちの命が奪われずに済むことにほっとする気持ちの方が大きかったのかなと思いました。あのシーンは末永創監督からもご指導頂きながら撮影しましたが、自分が感情的になっていて自分を客観的に見られなくなるので、監督から指摘して貰えるのは有り難かったです。まだ教え子たちに伝えたいこともあるけれど、話せる時間は僅かしかない。慌てながらも、自分の思いをしっかり伝えるというのは結構難しくて。僕も予想していなかったくらい感情があふれて、撮影しながら心臓がバクバクしていました。

特に印象に残っているシーン

いくつかあるのですが、まずは長崎から大奥へ旅立つ前に、耕牛先生とお別れするシーン。庭師の修行をしていた自分が、親方とお別れした時に似ていたということもあり、印象的でした。6年ほど親方のもとで修業して、その後上京したのですが、僕の親方も最初はどちらかというと上京せずに修行を続けて欲しいと思ってくれていて。お別れする時、親方が泣いてくれた時のことを思い出しました。あとは、先程お話しした死罪を言い渡されるシーンもそうですし、源内さんの死が近いことに青沼が気付くシーンも心に残っています。当時は絶対治せない病にかかっているということに気が付いて、それを源内さんに伝えなければならないという。青沼の心もぐちゃぐちゃだったと思います。

■放送情報
ドラマ10『大奥』Season2
NHK総合にて、毎週火曜22:00〜22:45放送
出演:
【医療編】
鈴木杏(平賀源内)、玉置玲央(黒木)、村雨辰剛(青沼)、岡本圭人(伊兵衛)、中村蒼(徳川家斉)、蓮佛美沙子(御台・茂姫)、安達祐実(松平定信)、松下奈緒(田沼意次)、仲間由紀恵(一橋治済)
【幕末編】
古川雄大(瀧山)、愛希れいか(徳川家定)、瀧内公美(阿部正弘)、岸井ゆきの(和宮)、志田彩良(徳川家茂)、福士蒼汰(天璋院・胤篤)
原作:よしながふみ『大奥』
脚本:森下佳子
音楽:KOHTA YAMAMOTO
写真提供=NHK
©よしながふみ/白泉社

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