『らんまん』“万太郎”神木隆之介が愛される理由が詰まった第22週 “全てが平等”の思い
『らんまん』(NHK総合)第22週「オーギョーチ」は、これまでの作風とは一線を画す物々しい雰囲気が漂う週だ。
それは日清戦争に勝利し勢いづく日本全体の欲望。金、権力、他国を見返してやりたいという焦燥感。それらが渦巻く時代の転換期の中で、万太郎(神木隆之介)は変わらずに自分ができることを続けていった。
そのことを再確認させてくれたのが、万太郎が調査団として渡った台湾の村人たち。熱が出て倒れてしまったところを助けてくれたのが村人たちであり、台湾で昔から愛されてきた果物「オーギョーチ」だった。万太郎と村人たちを繋ぐきっかけとなったのが、寿恵子(浜辺美波)がピストルの代わりにお守りとして持たせてくれた『日本植物志図譜』。留学先のドイツから帰国し、教授となった徳永(田中哲司)は「世界で評価された最大の理由はとにかく植物画がよかったから」と万太郎を嫉妬混じりに認めていたが、万太郎の植物画に夢中になる村人たちの姿が、言葉は伝わらなくとも繫がりあえるということを示していた。現地の案内人・陳志明(朝井大智)が満月を見上げながら、「面白いですね、植物学」「私も学んでみたくなりました」と告げるシーンからは、台湾という場所にもまた一つ万太郎によって植物学の種が植えられたことを実感させる。
また、万太郎は台湾の人々にも対等に接していった。台湾の近代化のため共通語として日本語を推進している中で、台湾語を話すことはすなわち国に歯向かうことを意味するが、それでも万太郎は陳に「あなたの名前はなんですか?」と台湾語で聞いた。初めて出会った植物に触れ、「おまんは、誰じゃ?」と語りかけるように、万太郎にとっては植物と人も、日本人も台湾人も、分け隔てなく、全てが平等なのだ。