永瀬廉×山下美月『恋ムズ』が描いた“想いを込めること”の力 昴とまどかの恋は新たな章へ

『恋はムズ』が描いた想いを込めることの力

 花倉まどか(山下美月)との未来を選んだ天堂昴(永瀬廉)。2人を待ち受けているのは子供服部門の存続をかけた最後のチャンス。ヒントになったのは、まどかの小さな節約術だった。恋と再生を描いてきた『御曹司に恋はムズすぎる』(カンテレ・フジテレビ系)最終話では、この物語が信じてきた“想いを込めること”の力を静かに、そして力強く描き出した。

 
 服天に戻ってきた昴が考えたアイデアはリバーシブルのアウター。だが、それには成田理人(小関裕太)が言うように多くの困難が伴う。それでも、昴には考えがあった。昴は幼なじみの草壁友也(西畑大吾)に会いに行く。そこで草壁は「昴と一緒に服が作りたい」と本音を漏らす。道を違えたかと思った2人だが、最終回にして再び手を組んだ。決して多くは語らずとも、想いを共有するシーンはとても感動的だった。

 新作発表の舞台裏、それぞれの思惑が交錯する中、東雲香織(筒井真理子)の決断を覆そうと、チームはなりふり構わず走り回る。その必死な姿を目の当たりにした昴は、幼き日に天堂亘(鹿賀丈史)から聞かされた「昴」の名に込められた想いを、静かに思い出していた。そこで訪れたローンチイベント。壇上に立つ昴の堂々とした姿は、第1話の昴とはまるっきり違っていた。「子供服は未来へとつながるバトン」――それこそが、彼女がこのプロジェクトに込めた答えだった。会場に集まったバイヤーや関係者の前で、昴はまっすぐに言葉を紡いでいく。その姿を見ていた香織の表情に、わずかながらも確かな揺らぎが走ったと感じたのは筆者だけだろうか。

 受注件数は、目標として掲げていた1万件には届かなかった。だが、当初の苦戦を思えば、今回の結果は十分すぎるほど健闘と言えるものだった。そんな中、姿を現したのは、天堂家の執事・リチャード(芹澤興人)。そこで子供服部門の存続と、これまでの事情のすべてが亘の思惑通りだったことが告げられる。予期せぬ知らせに、昴は思わず息をのむ。廃止の決定も、その撤回も。香織の強硬な姿勢でさえも、すべては亘が仕掛けた布石だったのだから。自ら選び、自らの足で立った先にこそ、亘が信じた未来があったのだ。

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