『らんまん』陳志明役・朝井大智と台湾の深い縁 怪しくも憎めない役柄が持ち味に

『らんまん』朝井大智と台湾の深い縁

 かつて佑一郎(中村蒼)に感化され、研究のためロシアに行きたがった万太郎(神木隆之介)。その時はさまざまな事情により叶うことはなかったが、『らんまん』(NHK総合)第22週で、ついに学術研究員として台湾へ渡った。

 現在、台湾は飛行機で2〜3時間あれば到着する、手軽な海外旅行先としての人気観光地だ。しかし、当時は東京から神戸に渡り、そこから3日間の船旅を経て辿り着く遠い異国の地だった。そこで、現地の案内人を務めたのが陳志明(朝井大智)だ。

 実は万太郎が台湾に渡ることができたのは、その頃、台湾が日本の統治下となったから。日本政府としては、台湾の「日本化」のため公用語を日本語にしたかったのだが、常日頃から研究のことばかり考えている万太郎がそんな社会情勢の細かいことを気にするはずもない。だから役人が止めるのも気にせず、現地の言葉・台湾語で挨拶をした。

 実直そうな好青年の志明は、台湾語を話す万太郎に最初こそ戸惑いの表情を見せたが、台湾語で名前を聞かれると、にこやかに笑いながら「ダァン・ジーミン」と実際の発音で名乗った。「植物だってお国言葉で呼び方が変わる」「現地の人に聞かなければならないこともある」と考えていた万太郎にとって簡単でも現地の言葉で、現地の人とコミュニケーションが取れたことは、自身の理想に一歩近づいたことを意味している。万太郎はるんるん気分で、調査場所へ向かうが、その後ろをついていく志明は先ほどの素朴な雰囲気とは打って変わって、怒っているような複雑な表情を見せ、万太郎を睨みつけていた。

 その変わり様にSNSでも「何かよからぬことを企てそう」「怪しげな雰囲気」と話題になった志明を演じているのが朝井大智。近年では、『最愛』(TBS系)で高校3年生だった梨央(吉高由里子)に襲いかかる渡辺康介を演じている。梨央と弟の優(高橋文哉)の間にある大きな秘密に関わる重要人物だった康介を、朝井はやはり不穏な雰囲気を保ちながら見事に演じてみせた。

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