『バーフバリ』の“創造神”が語る『RRR』の化学反応 SNSで話題のダンスシーンも

『バーフバリ』監督が語る『RRR』制作秘話

 『バーフバリ』シリーズを生み出したS・S・ラージャマウリ監督の最新作『RRR』が公開中だ。

 インド映画史上最高制作費7200万ドル(97億円)をかけて製作された本作の舞台は、1920年、英国植民地時代のインド。英国軍に捕らわれた村の少女を救い出す使命を背負ったビーム(NTR Jr.)と、英国の警察官・ラーマ(ラーム・チャラン)。敵対する立場の2人は、互いの素性を知らぬまま唯一無二の親友となっていく。

 『RRR』、『バーフバリ』シリーズの生みの親、ラージャマウリ監督に本作の見どころやSNSでも話題のダンスシーンについて聞いた。

NTR Jr.とラーム・チャランが生み出すケミストリー

――ラージャマウリ監督の前作『バーフバリ』シリーズは日本でもロングランを記録して、全国各地さまざまなフォーマットで上映されました。日本のファンの熱狂をどのように見ていましたか?

S・S・ラージャマウリ(以下、ラージャマウリ):映画の作り手として、自分の作品が知らない文化や言語の中で受け入れてもらえるという体験は、本当に心打たれる思いでした。『RRR』では、皆さんにさらに上回る喜びを届けられればと思います。

――『バーフバリ』も『RRR』も、ラージャマウリ監督の映画は全てのカットに漫画の扉絵のようなインパクトがあります。まず最初に「こんなカットにしたい」というビジョンが思い浮かぶのでしょうか?

ラージャマウリ:『RRR』でいえば、自由のために戦う2人の闘士を描きたい、というアイデアから出発しました。その次に、私の中にある断片的なアイデアを共作者である父に伝えると、まるでビーズに糸を通してネックレスにするように、父が一つの物語としてまとめてくれるんです。

――ビームとラーマのキャスティングはどのように決まったのでしょうか?

ラージャマウリ:ビームとラーマを演じるには、肉体的にも精神的にも強くなければいけません。さらに彼らは、水と炎のように対となる存在です。水も炎も強い要素ですが、炎が大きすぎたら水は蒸発してしまう。反対に水が多すぎれば炎が消えてしまう。しかし、2つがバランスを取り合って、炎が水を蒸気に変えることができれば、何者にも代えがたい強さを発揮します。NTR Jr.とラーム・チャランであれば、そんな火花を散らすようなケミストリーが実現できると思ったんです。

――ビームが水、ラーマが炎、という比喩は劇中でも強調されていました。日本にも「雨垂れ石を穿つ」「内なる炎を秘める」などの慣用句がありますが、インドでも同じようなイメージがあるのでしょうか?

ラージャマウリ:インドにも似た表現はたくさんあります。さまざまな文化圏において、水には生命をもたらすものというイメージがあるのではないでしょうか。一方、炎はもっとスピリチュアルで、インドでは特に、燃やすことは純粋さの象徴でもあります。

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