『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人の演技はさらなる高みへ 傑作を生んだ舞台裏も必見

『キングダム 大将軍の帰還』のアツい撮影裏

 2024年の日本の夏をよりアツいものにした映画『キングダム 大将軍の帰還』。同作のBlu-ray&DVDが3月12日より発売開始となる。そう、再びあの夏の興奮を自宅で味わうことができるのだ。しかも、メイキングをはじめとする映像特典も盛りだくさん。主演の山﨑賢人や大沢たかお、吉川晃司らの奮闘、そしてその裏側にまで触れることができる、ファンならばマストバイな一品なのである。

 この『キングダム 大将軍の帰還』は、原泰久による大人気マンガ『キングダム』(集英社)の映画化シリーズ第4弾。2019年にはじまった本シリーズは、第2弾の『キングダム2 遥かなる大地へ』(2022年)、第3弾の『キングダム 運命の炎』(2023年)がこれまでに公開され、日本のエンターテインメントシーンの中心に君臨し続けている。かつて秦国の戦災孤児だった主人公・信(山﨑賢人)が、戦乱の世で「天下の大将軍」を目指して突き進んでいく姿は熱狂的な観客を数多く生み出してきた。

 そんなシリーズの第4弾である今作では、前作『キングダム 運命の炎』に引き続き、秦国と趙国の総力戦が繰り広げられる。そして、秦国軍総大将・王騎(大沢たかお)と趙国軍総大将・龐煖(吉川晃司)の因縁の対決が展開。そのすぐそばで、信が率いる飛信隊の活躍と、個々の精神的な成長が描き出される。

 本作の見どころは、なんといっても王騎将軍と自らを「武神」と称する龐煖の激闘。龐煖といえば、前作『キングダム 運命の炎』のラストで初登場。同作への吉川の出演は告知されていなかったため、すべての『キングダム』ファンを驚かせたものだ。しかもその強さはケタが違う。飛信隊の面々と私たち観客に絶望を与えたまま、この作品は幕を閉じた。それに続くのが『キングダム 大将軍の帰還』なのだから、幕開け直後から信や羌瘣(清野菜名)らが命懸けで龐煖に挑んでいくさまが描かれる。つまり、冒頭からフルスロットルで物語は疾走し、本編146分間ずっと“クライマックス”のような作品なのだ。

 王騎は信が憧れる「天下の大将軍」だが、思い返してみれば、これまでに彼が闘う姿はほとんど見られなかったのではないだろうか。それでも、演じる大沢はその佇まいや所作、表情と声とで、彼こそが「天下の大将軍」なのだと誰もが信じてやまない王騎像を作り上げてきた。もちろん、常軌を逸しているとしか思えないほどストイックな大沢の肉体改造によって生まれた説得力も計り知れない。そんな彼が満を持して超巨大な矛を振り回すのが本作なのだ。大沢がこれまで長いこと維持してきた王騎像が、いよいよその真骨頂を発揮し、『キングダム』の世界に刻み込んでいる。

 ロックスターとしてステージ上で“シンバルキック”などを披露してみせる吉川は、非常に身体能力の高い人物として知られている。そしてそれはこの龐煖役にも惜しみなく反映されている。吉川の躯体もまた、太くて大きい。しかしそれでいて彼が体現する龐煖のアクションは、豪快でありながら恐ろしく速い。飛信隊の面々を翻弄し絶望させる冒頭から、王騎との一騎打ちとなる真のクライマックスまで、私たちはまばたきなどしていられないだろう。目を閉じた一瞬の隙に、何かが起きているのだから。すべてを隈なく目に焼き付けるためには、Blu-rayやDVDでの繰り返しの視聴が必要になってくるはずだ。

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