『バーフバリ』の2倍すごい! 『RRR』はスパイスと筋肉マシマシの『あらしのよるに』
リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週はチーズナンが大好物の花沢が『RRR』をプッシュします。
『RRR』
「『バーフバリ』の2倍ですよ!!」
それが、『RRR』の宣伝担当のスタッフさんに最初に言われた一言でした。
本作は、日本でも大きな熱狂を巻き起こした『バーフバリ』シリーズの生みの親、S・S・ラージャマウリ監督が手掛ける最新作。インド映画史上最高の製作費をかけて製作された本作は、予算面でも監督の前作『バーフバリ 王の凱旋』の約2倍。さらに、キャストもNTR Jr.とラーム・チャランの2人を迎え、主人公も2倍! 強さも2倍! というわけです。
ストーリーは簡単に言ってしまえば、児童書の『あらしのよるに』に筋肉とスパイスを大量にぶち込んだような感じ。イギリス植民地時代のインドを舞台に、イギリス軍に拉致された少女を取り戻したいお尋ね者のビームと、イギリス警察に所属する男・ラーマは、お互いの正体を知らないまま親友になってしまいます。
タフガイによる少女奪還劇という意味では『コマンドー』のようでもあり、追う者と追われる者の友情ストーリーは『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』にも似ています。体制に歯向かうビームが、軍の横暴にも負けず力強く歌うシーンは『レ・ミゼラブル』並みに感動するし、超人的なパワーを持った男同士の友情と対立は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を彷彿とさせる……とにかくこれが不味いわけがない! というくらい、みんなが大好きな要素がギュウギュウに詰め込まれているのです。
そんな本作で特に注目してほしいのが、「ナートゥ・ナートゥ」のシーンです。イギリス人から「褐色の虫けら」と罵られ、「お前たちに芸術の何がわかる? タンゴもフラメンコも踊れないくせに」と馬鹿にされたビームとラーマは、力強いドラムの音にあわせてこのナートゥ・ナートゥ・ダンスを披露します。
インド映画といえば、男女に分かれての華麗なダンスシーンがおなじみですが、この「ナートゥ・ナートゥ」は男のプライドを賭けた完全な“ダンスバトル”。土埃を舞い上げながら、立っているのが最後の1人になるまで繰り返される激しい動きと、彼らを取り囲む群衆の異様な熱気は、さながら闘牛を観ているようでした。