『バーフバリ』の“創造神”が語る『RRR』の化学反応 SNSで話題のダンスシーンも
SNSでも話題の「ナートゥ・ナートゥ」ダンス
――ビームとラーマがパーティー会場で踊る「ナートゥ・ナートゥ」のシーンが印象的でした。海外の映画祭では、ファンがスクリーンの前で踊りだすこともあったそうですね。
ラージャマウリ:海外の観客が「ナートゥ・ナートゥ」のシーンを愛してくれていることをとても誇りに思います。NTR Jr.もラーム・チャランも説明するまでもなく、素晴らしい俳優でありダンサーです。最初からこの2人が踊らないという選択肢はありませんでした。しかし同時に、ストーリーの中にきちんと組み込まれ、かつ物語を前に進める役割を果たすようなものにしたかったんです。結果的に商業的な“お約束”は果たしつつ、意味のあるダンスシーンにできたと思います。
――ラーマの衣装が何度か変わって、最終的にポスターにも使われているオレンジ色の袈裟に着替えていました。衣装を担当しているラーマ・ラージャマウリさん(※ラージャマウリ監督の妻)とはどのようにディスカッションされたのでしょうか?
ラージャマウリ:実は、ラーマのモデルである実在のA.ラーマ・ラージュもオレンジの袈裟を身に着けていたという記録があるんです。これは、インドでも私が住んでいる地域以外ではあまり知られていないようで、多くの観客が叙事詩『ラーマーヤナ』のラーマ王子を表現していると思ったようでした。ラーム・チャランはレジェンド級の優れた俳優なので、これまで何度も映像化されてきたキャラクターであってもより良く見せたいという思いがあり、幸いなことに妻もそれを理解してくれていました。彼女の素晴らしい能力の一つに、俳優の体の動かし方を理解して、それに合った衣装を作り出せるというものがあります。私はたくさんの優秀なスタッフに恵まれていますが、その中でも最も素晴らしい財産は彼女だと思っています。
――『RRR』を観て、インドの歴史について詳しく知りたいと思ったときに、おすすめの入門書はありますか?
ラージャマウリ:まず最初に、インドの歴史や文化について全く何も知らなくても私の映画は楽しめるということは言っておきたいです。それでも、もしインドについて少しでも興味を持ってくれたのなら、『ラーマーヤナ』と『マハーバーラタ』、この2つの叙事詩をおすすめします。原典はとても長く、何冊にもわたるものですが、コミックにもなっていて日本語にも翻訳されているので手に取りやすいのではないでしょうか。この2つの叙事詩は、インド流のストーリーテリングの根幹にあるものだと思います。
■公開情報
『RRR』
全国公開中
監督・脚本:S・S・ラージャマウリ
原案:V・ビジャエーンドラ・プラサード
出演:N・T・ラーマ・ラオ・Jr.、ラーム・チャラン
配給:ツイン
応援:インド大使館
原題:RRR/2021年/インド/テルグ語、英語ほか/シネスコ/5.1ch/日本語字幕:藤井美佳/字幕監修:山田桂子
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