『六本木クラス』香川照之×早乙女太一が織りなす“ゲス親子”劇場 “土下座”は一旦お預け

『六本木クラス』“ゲス親子”劇場が開演

 ドラマ『六本木クラス』(テレビ朝日系)第8話は、長屋茂(香川照之)と龍河(早乙女太一)2人が織りなす“ゲス親子”劇場回だ。


 「二代目みやべ」に葵(平手友梨奈)をスカウト(ほぼヘッドハンティング)しにきた龍河は逆に彼女から反撃を食らう。葵は龍河が12年前に起こした轢き逃げ事件の自白を隠れて録音、そのことに激怒した龍河は葵を暴行し、再び逮捕されてしまう。ニュース番組でも大々的に報道され、長屋ホールディングスの株価は暴落。新(竹内涼真)たちは今が絶好のチャンスだと、会長である茂の解任決議案を出す。新とパートナーシップを結ぶ専務の相川(稲森いずみ)を新たな会長に押し上げ、長屋親子を会社から引きずりおろす復讐へのカウントダウンである。

 ここでポイントとなるのは、茂が息子を切るのか、会社を守るのかである。目まぐるしく動いていく物語の中で注目すべきは、茂が室長である優香(新木優子)に長屋を作った理由を語っている場面。会社のため、龍河を切ってほしいと進言する優香に茂は「長屋は私そのもの」「二度と家族を見捨てろなどと言うな」と思いを明らかにする。しかし、これは正しくは優香ではなく、途中で会長室に入ってきたお茶汲みに向けて放ったポーズ。茂はお茶汲みが相川と繋がっているスパイであることを知った上で、家族を見捨てる気はないという態度を取ったのだ。

 当然、好機を逃すまいと新たちは会長の解任決議案に乗り出す。龍河は弁護士の言う不起訴に持ち込めるという言葉を信じ、検察に出頭。邪魔者はいなくなった、とばかりに茂は株主総会の前に緊急記者会見を開き、そこで息子が起こした轢き逃げ事件を認めるのだった。

 つまり茂は家族を見捨て、会社の信頼回復を選んだこととなる。相川の言葉をそのまま借りるが、茂の嘘泣きやまるで心のこもっていないお辞儀は“たぬき親父”そのものだ。それはもちろん出頭する前に、龍河と交わした父と息子としての抱擁も入る。ちなみに、『梨泰院クラス』ではこの記者会見のシーンでチャン・デヒ(ユ・ジェミョン)がお辞儀だけでなく、マスコミの前で簡単に土下座までしてしまう。そのことはパク・セロイ(パク・ソジュン)の心を折るが、同時に復讐劇の象徴である土下座をここでしてしまうのかと疑問に思ったシーンでもある。韓国と日本とで土下座の重みが違うからかもしれないが、『六本木クラス』では今後の展開に取っておいたという見方が正しいだろう。

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