『女神の継承』は『哭声/コクソン』×『ヴィジット』 いつまでも残り続ける後味の悪さ

『女神の継承』の最高の後味の悪さ

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は人生とは「下天のうちをくらぶれば、夢幻の如くなり」としみじみ思っている石井が『女神の継承』をプッシュします。

『女神の継承』

『女神の継承』ポスター

 本作を観終わったとき、千空だったら「唆るぜ、これは!」と言ってくれるんだろうな……とふと思いました。それぐらい、本作『女神の継承』では、千空でも解き明かすのが難しいであろう非科学的なことがオンパレードで展開されていきます。千空のことも、唆るぜも意味不明な方に補足しておくと、ジャンプ漫画『Dr.STONE』のことです。

 『Dr.STONE』は、全世界が石化して文明が滅びてしまった世界で目覚めた天才科学者の千空が、科学を駆使して、さまざまな道具、機械、文明をゼロから作り上げていくという物語。どんな逆境も、キメ台詞「唆るぜ、これは!」とともに、千空はピンチをチャンスに変えていきます。どんなものでもひとつひとつ積み重ねていくこと、人=力であること、人類の積み重ねてきた叡智が何にも勝るということ……など、この作品には、科学をはじめ学ぶことの楽しさ、生きることの尊さが詰まっています。大人も子供もオススメです!

 ということで『Dr.STONE』がいいぞという前置きはここまでとして、本題の『女神の継承』について。結論から言えば、ポスタービジュアルから漂う禍々しさのイメージをまったく裏切ることのない、いい意味で最高に後味の悪い映画でした。

 それもそのはず、原案・プロデューサーを務めているのは、韓国映画『哭声/コクソン』を手がけたナ・ホンジン。「『哭声』の続編として、ファン・ジョンミンが演じた祈祷師・イルグァンの物語を思いついたことから企画がスタート」と解説に書いてありましたが、「そんな企画を思いつくなよ」と観た後には突っ込まずにはいられません。國村隼をはじめ知っている俳優が出ていたこともあり、『哭声』はどんなに怖くても、“フィクション”としてどこか冷静に観ることができる部分がありましたが、本作に出演しているのはまったく知らないタイの方々。フェイクドキュメンタリーの手法が取られていることもあり、劇中内で起こるたくさんの“嫌な感じ”がそのまま観ている方にも流れ込んできます。

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