土屋太鳳、コンプレックスだった“声”とともに届けたい思い 「プラスの感情になってほしい」

土屋太鳳、“声”で観客に届けたい思い

 吉浦康裕監督によるオリジナルアニメーション映画『アイの歌声を聴かせて』が10月29日より全国公開中だ。本作は、ポンコツ“AI”とクラスメイトの友情と絆を描いた青春映画。福原遥、工藤阿須加、興津和幸、小松未可子、日野聡らが演じる景部高等学校の生徒たちと交流を深めていく、試験中のAIシオンを演じたのは土屋太鳳。劇中では自ら歌を歌い、4曲の劇中歌も担当している。この作品について、「私自身にとって大切な役になるだろうという予感がありました」と語っていた土屋に、本作での経験や観客に届けたい思いについて話を聞いた。

「奇跡のような時間だった」

ーー完成した作品をご覧になっていかがでしたか?

土屋太鳳(以下、土屋):すごく楽しかったです。歌に関しては、シオンちゃんの音域が私にはないものだったので、もちろん苦しかったときもあったんですけど、実際に出来上がった作品を観ると、みんなが一緒に歌っているシーンやすごくきれいな画、シオンちゃんが人間になるにつれてその表情がどんどん豊かになっていく様子などに、ものすごく心を打たれました。

ーー「私自身にとって大切な役になるだろうという予感がありました」とコメントされていましたが、どのような理由でそう思ったのでしょうか。

土屋:私自身、声にコンプレックスがあって、人前で歌うことや大声を出すことにすごく緊張してしまうタイプで。どうしてかというと、私は大声が出ないと思っていたから。大声を出そうとするとガラガラした声になってしまうので、そこにコンプレックスを感じていたのですが、この作品と並行してミュージカルもやらせていただいていて、歌も録らせていただいたので、奇跡のような時間だったなと感じています。

ーーアニメ作品での声のお仕事は、『僕だけがいない街』や『フェリシーと夢のトウシューズ』など過去にも経験されています。

土屋:今回の『アイの歌声を聴かせて』は、音楽と歌とお芝居が重なる作品だったので、これまでやってきたアニメ作品ともまた違って、貴重な機会でした。自分が出演した作品を初号試写で観るときは、緊張してあまり覚えていないことが多いんですけど、今回は歌わせていただいたこともあって、アニメーションのキャラクターにこんなにも素敵な表情があるんだと驚きました。すごくリアルで、シオンちゃんがどんどん人間に近づいていく感じが、まるで呼吸をしているようで感動しました。

――今回土屋さんが演じられたシオンは試験中のAIという設定です。機械ではあるけれども、徐々に人間らしさを得ていくという難しい役どころだったのではないかと思います。

土屋:意識したのはセリフの“呼吸”の部分でした。Siriとかの音声って、「申し訳ございません」「お役に立てませんでした」のように呼吸がないんですよね。だから、「~でした」って言ったらちょっと人間っぽいですけど、「~でしたっ」って呼吸を切ると、ちょっとAIっぽくなるんです。なので呼吸を止めながらセリフを言うことを意識して、物語が進んでいくにつれて呼吸を増やしていくようにしました。言葉の中に空気を入れていくことが人間の発声なのかなと。そこがうまく見えたらいいなと思っていました。

ーーポイントとなっているのはやはり“歌”ですよね。

土屋:映画の中で歌うなんてほとんどないことですよね(笑)。しかも今回はがっつり歌わせていただいて。作曲の高橋(諒)さんや作詞の松井(洋平)さん、たくさんのスタッフさんからも「もっとこうやって歌ってみて」とか「もっとこういうリズムでやってみて」といろいろ助けをお借りしながらレコーディングに挑みました。『フェリシーと夢のトウシューズ』でも主題歌を担当させていただきましたが、その後ミュージカルをやらせていただいたこともあり、発声方法もいろいろ学んだので、あの頃から成長できているのではないかと思います。

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