“ガールズバンド”アニメが続々ヒット 一方で“ボーイズバンド”ものが流行らない理由を推察

『ぼっち・ざ・ろっく!』『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』『ガールズバンドクライ』『BanG Dream! Ave Mujica』……2020年代にガールズバンドを扱ったアニメが大ヒットしているのはアニメファンならご存知でしょう。さらに『ロックは淑女の嗜みでして』や『ふつうの軽音部』(これはまだアニメ化の発表はないですが、これだけの話題作ならおそらくするでしょう)もそれらに続きそうです。
その一方で、不思議なのがボーイズバンドの大ヒットアニメが見られないこと。もちろん『BanG Dream!』シリーズの『from ARGONAVIS』や劇場版の展開もあった『ギヴン』、とにかく面白い『ヴィジュアルプリズン』といった作品はあります(特に『ギヴン』のTVシリーズ第9話「冬のはなし」なんて筆者は大好物で)。さらに遡れば『幕末Rock』や『DYNAMIC CHORD』も存在感という点ではものすごかった。しかしこれらが先に挙げたガールズバンドアニメ群に比肩するほどの大ヒット作だとみなす人は少ないのでは(失礼!)。こうした明らかな差がなぜ生まれているのか、勝手に推測してみようというのが今回の記事の趣旨です。
ギスギスした展開が男っぽくない?
まず内容面から考えてみると、ガールズバンドのヒット作のうち『ぼざろ』を除く3作(もっと言うと2024年の『ささやくように恋を唄う』なんかも)は、いわゆる“ギスギス”展開の強烈さが魅力のひとつです。その逆で、往年のヒット作『けいおん!』なんかはゆるふわ部活ものでした。
こうした話をもしボーイズバンドアニメでやると、ナヨナヨした風に見えるかもしれません。とは言えギスギスでも面白かった『ギヴン』もあったし、単に筆者が「男のバンドはひたすらかっこよくあらねば」的な思い込みが強いせいという気もします。

アニメ外のバンドで満足している人が多いのかも?
冒頭に挙げたガールズバンドアニメのヒット作の特徴として、キャストによるリアルユニットとの連動があります。彼女らのライブにはもちろん女性ファンもいますが、多いのはやはり男性ファン。次はこの線で考えてみましょう。
ボーイズバンドアニメのメインターゲットが女性だと想定すると見えてくることもあります。まず女性はいわゆる2.5次元の舞台なども(男性に比べて)参加する人が多いため、リアルバンドを展開しようとしてもパイの奪い合いが発生しがち。だからアニメ制作側も、ガールズバンドアニメ同様の展開を避ける……というそれっぽい想像はできます。
ただしこれには数字的な根拠がありません。このレベルであれば「リアルバンドとして稼働する程度にスケジュールに余裕のあるキャリアの浅い異性の声優を、女性は(男性に比べると)あまり追いかけない」という推論もあります。しかし、これもあくまで偏った印象であり、確信を持って語るのは難しい。
もしかしたら、KISHOWこと谷山紀章さんがボーカルを務めるGRANRODEOが、女性アニメファンでバンドサウンドを好む人の需要の多くを満たしているのかもしれませんが……。
そんなふうにいろいろと考えている内に思い当たったのが、そもそもアニメ作品などに関わらないバンドの存在。最近でこそSHISHAMOやBAND-MAID、SILENT SIRENといったガールズバンドが活躍していますが(女性ボーカルであれば緑黄色社会やパスピエ、ポルカドットスティングレイなども)、ロックバンドシーンは未だに男性が主流ということに異論がある人は少ないでしょう。
そして女性の多くは、アニメに限らずそうしたリアルバンドで(メンバーの関係性やバンドのドラマなども含めて)需要を満たしている、というのは無理のない推論のように感じます。