ご先祖探しは「究極の自分探し」 プロが教える家系図作成の魅力とノウハウとは?

今年のお盆は、家系図作りで決まり!?

6月24日に発売された本書『自分でできる家系図の作り方』(ポプラ社)は、先祖調査・家系図作成を専業とする著者・丸山学が、自分のルーツをたどる魅力とノウハウを初心者向けに分かりやすく教えてくれる一冊だ。
本書は家系図作成の方法を、初級編・中級編・上級編の3段階に分けて説明している。まず初級編で何をするかといえば、「戸籍を取得する」ほぼそれだけある。戸籍は、婚姻や転籍などで一人につき何通も存在している。取得した戸籍を見てみると、そこには「従前戸籍」という欄があり、ひとつ前に入っていた戸籍が記載されている。それを参照しつつ、調査対象の出生時のものまで順々に取得していく。そして今度は、その父親もしくは母親の戸籍を遡り……と続けていくうちに、戸籍だけで150年程度は家系を遡れる。
なぜ150年なのかといえば、戸籍は明治時代のものまで現在取得できるから。本書によると、戸籍はすでに奈良時代には、徴税に利用する目的で作られていた。中世以降に戸籍制度は無くなったものの、江戸時代にもキリスト教の禁止を主な目的とする、戸籍に近い書類が存在したという。明治5年(1872)になると、徴兵のために戸籍が作成されるようになる。ただし犯罪歴が記載されているなど内容に人権上の問題があり、現存しているものは法務局で完全封印されている。そこで明治5年式とは異なる明治19年(1886)式の書式が、現在取得可能な最古の戸籍となった。その後不定期で、書式は更新されていく。その中で現行の書式と位置付けられるのが、「家」ではなく「一組の夫婦とその子」単位で戸籍の作られるようになった、昭和23年(1948)式というのだから驚かされる。
一方、その戸籍を取得する手続きにおいて、近年大きな変化があった。かつて複数の戸籍が別々の本籍地に存在する場合には、各地の役所へ戸籍の取得を申請しなければならなかった。だが2024年3月1日に始まった「広域交付制度」により、一つの窓口で全国にある戸籍をまとめて取得できるようになったのだ(ただし、自身の直系に該当するものに限る)。本書で紹介されるこれらの書式・制度の移り変わりは、家系図作成の視点から見た戸籍の歴史として興味深く読める。
こうして戸籍から得た情報をもとに家系図を作るだけでなく、ご先祖たちの人物像を立体的にする方法として、本書では国立国会図書館のデジタルコレクションの活用が挙げられている。家系図の中の誰かの氏名に加え、把握できていれば居住地や職業もプラスして検索。ヒットしたデジタルコレクション内のデジタル化された書籍から、関連していそうなものをあたってみる。すると、その人の名前が出てくる文章が読めて、趣味や経済状況から、過去のエピソードまで明らかとなるかもしれないのだ。
初級編の後は、戸籍の存在しなかった江戸時代の先祖探しにチャレンジとなる。200年遡ることを目指す中級編では、旧土地台帳や地名辞典に郷土誌、さらには宗門人別帳に分限帳(藩士名簿)といった古文書を主にウェブ上や図書館で捜索。そこから得た情報を、パズルのように組み合わせながら先祖を特定していく。400年も辿る上級編では、面識のない同族・同姓の人々や菩提寺に連絡をとり協力を依頼。現地で個人所蔵の古文書に先祖の墓石まで調査するなど、情報を足で稼ぐ必要も出てくる。
なぜここまでして、人々は家系図を作成しようとするのか? 著者曰く、先祖探しとは「究極の自分探し」であり、〈先祖の生きざまを通じて、何か表現のしようがない豊潤なものが生まれ、自分自身へ繋がる道が見えてくるのです〉という。自分探しが、テーマとして重たく感じる読者もいるかもしれない。だがライト層として取り組む道もあるので、そう身構えなくても大丈夫。
死亡や婚姻で全員がいなくなり除籍簿に綴られた戸籍は、規程で150年経過すると廃棄可能となるという。廃棄するかどうかは各役所の判断となるが、2036年以降に明治19年式の戸籍が取得できなくなるかもしれない。そこで今のうちに戸籍を取り寄せて、せっかくだから家系図を作るという考えもある。また、戸籍を印刷する役所の紙は、ご当地の花やゆるキャラなどがデザインに入っていたりもするという。そこであえて広域交付制度を使わずに各地をめぐり、お気に入りのデザインで戸籍を集めながら家系図作りを……なんて、気軽に取り掛かれるきっかけとなりそうな要素も、本書では見つけられる。
集めた戸籍で家系図を作って深掘りしながら、ご先祖様を迎える。今年のお盆はこんな過ごし方もお勧めである。
■書誌情報
『自分でできる家系図の作り方』
著者:丸山学
価格:1,650円
発売日:2026年6月24日
出版社:ポプラ社





















