【漫画】昆虫好きの女の子の悩みとは? 子どもたちの友情が美しい『フレーム越しのはばたいて』

【漫画】昆虫好きの女の子の悩みとは?

 「枠の向こうのセカイは/きょうもうつくしい」

 宙を舞う蝶の姿を窓越しに眺める羽田千春は、自分の思いを表現することが苦手な小学生の女の子。彼女はひょんなことから虫博士として教室内で有名な男の子・明原と蝶の幼虫の成長を見守ることとなる。少しずつ大きくなっていく幼虫を一緒に眺めるなか、些細なことをきっかけに2人はすれ違いーー。

 SNSに投稿されている漫画『フレーム越しのはばたいて』で描かれるのは、小学生のリアルな日常と、触れたら壊れてしまいそうな心の繊細な機微。そんな本作には作者・春風くまこさん(@T1t61mDaci64720)の境遇が含まれているという。創作のきっかけ、本作に込めた思いなど、話を聞いた。(あんどうまこと)

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『フレーム越しのはばたいて』(春風くまこ)

ーー本作を創作したきっかけを教えてください。

春風くまこ(以下、春風):実は私も千春のように「傷つけるのが怖い」という理由で虫が苦手でした。ただ、一括りに「虫嫌い」と表現されるのが悲しいと感じていたので、自分の経験を「感じ方の違い」「他者を理解することの難しさ」と結び付けて表現してみようと思い、本作を創作しました。

ーー作品のモチーフとして蝶を選んだ背景を教えてください。

春風:千春と空くんの心の成長を表現するために、幼虫、サナギ、成虫と、成長に伴う変化が分かりやすい蝶をモチーフとして選びました。またサナギになるといった殻にこもる性質を2人の関係性とリンクさせ、蝶と同じように人間にも成長のために必要な期間があることを描写する意図もありました。

ーー可愛らしいキャラクターたちと対照的に、蝶の姿や成長の過程はリアルに描かれていると感じました。

春風:作中の虫たちはデフォルメせず、リアルな姿のまま主人公目線での愛らしさを感じてほしいと思いながらこだわって描きました。

 ナミアゲハの成長の過程は詳しくなかったので、実際に飼育していた方がYouTubeに投稿している成長記録の動画を参考にさせていただきました。

ーー登場人物が着ている洋服、お母さんがお土産を持たせてくれたりなど、小学生としての日々のリアルさも印象的でした。

春風:洋服や小物から空気感・没入感を演出できたらと考えていたので嬉しいです。物語の面では、同じ年代の頃の自分の記憶と向き合い、大人になって思い返すと恥ずかしくて転げ回りそうな当時の気持ちや感覚も、茶化さず真剣に描くことを意識しました。

ーー本作を描くなかで印象に残っているシーンは?

春風:最後の1ページです。2ページ目の扉絵と対になる構図で、物語が始まる前と後の主人公のセカイの変化を表現しました。また一枚絵としてもかなりお気に入りの1ページであり、物語の最後に特大の花火を打ち上げるような気持ちで描きました。

ーー緻密な描線とカケアミで形作られた、繊細な背景も魅力的でした。

春風:かわいらしいキャラクターに対して、手描き感のあるリアルな背景を描く作風が好きです。本作の雰囲気にも合っていると感じたので、リアルな背景を描くことに挑戦しました。影の深さで光を表現するために、描線を重ねて陰影をはっきりさせることを意識しました。

ーー漫画を描き始めたきっかけを教えてください。

春風:物心ついた頃から頭の中には常にキャラクターが暮らしていたので、物語自体はいつもぼんやりと考えていました。ただ初めてきちんと漫画として描いたのは雑誌「りぼん」(集英社)の「小学生まんが大賞」に応募した時です。「私の漫画も雑誌に載せたい!」という思いがあり、漫画を描くようになりました。

ーー今後の活動について教えてください。

春風:一番の目標は自分が描いた漫画の単行本が出版され、書店に並ぶことです。幼い頃からの夢で、ずっとそこを目指して作品を描いています。

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