【漫画】親友の結婚報告に戸惑い……その理由とは? 繊細で複雑な友情を描く『せいぶつがかり』

【漫画】親友の結婚報告に戸惑いの理由

 親友が結婚した――。結婚報告に戸惑う主人公の独白をエモーショナルに描いた漫画『せいぶつがかり』が、Xに上がっている。

 祝福したい気持ちの裏側に滲む独占欲と罪悪感。自身の経験を交えて制作したという、作者・ちまりさん(@0_0wakeup)に制作について振り返ってもらった。(小池直也)

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『せいぶつがかり』(ちまり)

――制作のきっかけを教えてください。

ちまり:実は描きたいものが先立っていた訳ではありませんでした。何もアウトプットできなくなっている現状から脱却したくて、リハビリ的な気持ちで机に向かおうと思ったのが制作のきっかけです。

 特に漫画を描くのは久しぶりでした。自分の身の回りで起きそうな出来事を描こうと考え、本作のような内容になりました。

――友達の結婚報告に複雑な感情を抱くストーリーがリアルでしたが、これはご自身の経験によるものなのでしょうか。

ちまり:つい最近親友が結婚することになり、まさに作品内にあるような報告の場面に立ち会いました。親友とは物心つく前から20年以上一緒に過ごしてきたので、感動して泣きそうになったくらいです。

 私が親友に対して複雑な感情を覚えるようなことはなかったのですが、その体験自体は少なからず本作へ影響していると思います。

――もし自分が川島くんだったら、どう感じると思いますか。

ちまり:私が川島の立場にあったとして、ずっとみんなを等しく照らしてくれていた存在が、誰かひとりのための光になってしまったというのは同じようにショックだと思います。

 それはもともと自分のための光ではなかったのに、出過ぎた独占欲のようなものを抱いてしまうことに罪悪感すらあるかもしれません。

――本作は男性同士の話ですが、異性間や女性同士の場合と比べてエモさは異なると思いますか?

ちまり:自分が女性であること、また個人的な感じ方ですが、女性同士の場合、同性に対する好意を伝えるのにそこまでハードルが高くないように思っています。男性同士の方が同性同士の過剰な好意をタブー視しているような気がするというか……。

 本作のエモポイントは自身の気持ちに向き合うハードルを超えるかどうか、という点にあると思います。今回は男性同士の方が、主人公の心情に納得感があるのではないかなと考えました。

――ウサギの飼育係を題材に選んだのはなぜでしょう?

ちまり:私も小学生の頃にウサギの飼育係をやっていたからです。当時は私もウサギが怖くて苦手でした。主人公の独白の内容は、ほとんど自分の体験から拾ってきたものです。

 物語を書くときには、説得力を持たせるために自分の原体験のようなものを加えることが多いのですが、それを今回は飼育係という題材に反映しました。

――他に本作を描く際に意識したことや大変だったことなどがあれば教えてください。

ちまり:台詞やナレーションの言葉選びや、吹き出しの配置には時間をかけています。独白のシーンはどうしても説明口調になりやすいので、何度も読み返してテンポ感が悪くならないようにしました。

 また、台詞の合間に割り込むようにして「本当に?」という吹き出しを入れたように、敢えて読みづらいところを作って、ひっかかるような感覚を演出できないかと工夫しています。

――作画についてのこだわりなどがあれば教えてください。

ちまり:これまで描いてきた漫画はきちんと作画をして制作してきましたが、今回は適度に気の抜けたような落書きやネームそのままのような描き方をしようと決めていました。そのため画面の密度は高くないですが、逆に淡々とした語り口には合っていたのかなと

――今後はどんな漫画を書いていきますか?

ちまり:心の柔らかいところを刺すような物語が好きなので、それを目指したいと常々思っています。登場人物の心情を介して、読者の共感を得られるような漫画を書いていきたいです。

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