嶋津輝の最新作『カフェーの帰り道』発売 大正から昭和の東京・下町のカフェーで働く女給たちの日常描く短編集

作家・嶋津輝の『カフェーの帰り道』(東京創元社)が11月12日(水)に発売された。
【画像】百年前の女給たちの物語、嶋津輝の『カフェーの帰り道』
嶋津輝は2016年に「姉といもうと」で第96回オール讀物新人賞を受賞。2023年刊行の長編『欅(たすき)がけの二人』で第170回直木賞候補となった。本作は2年ぶりの新作となる。
『カフェーの帰り道』は、大正から昭和にかけ、東京の下町にあるカフェーで働く女給たちを描いた短編集。収録作品は「稲子のカフェー」「嘘つき美登里」「出戻りセイ」「タイ子の昔」「幾子のお土産」の全5編。カフェーという業態が、女性の社会進出と娯楽文化の象徴でもあった時代背景をもとに、働く女性たちの生き方を記録的に描写している。
大正から昭和にかけて東京・上野の片隅にあった「カフェー西行」を舞台とする短編集。銘仙姿に白いフリルエプロンを着け、客にコーヒーや軽食を提供しながら会話を交わす“女給”たちの日常を描く。登場人物は、竹久夢二風の化粧で人気を集めるタイ子、小説家を志すセイ、虚言癖があるが面倒見のよい美登里、そして彼女たちを翻弄する年上の新米・園子ほか。それぞれが「西行」で働くなかで、時代の流れとともに自らの道を模索していく物語だ。作家・原田ひ香も本作についてコメントを発表している。
あらすじ
東京・上野の片隅にある、あまり流行っていない「カフェー西行」。食堂や喫茶も兼ねた近隣住民の憩いの場には、客をもてなす個性豊かな女給がいた。竹久夢二風の化粧で注目を集めるタイ子、小説修業が上手くいかず焦るセイ、嘘つきだが面倒見のいい美登里を、大胆な嘘で驚かせる年上の新米・園子。彼女たちは「西行」で朗らかに働き、それぞれの道を見つけて去って行ったが……。大正から昭和にかけ、女給として働いた“百年前のわたしたちの物語”。
目次
「稲子のカフェー」
「嘘つき美登里」
「出戻りセイ」
「タイ子の昔」
「幾子のお土産」
著者プロフィール
嶋津輝(しまづ・てる)
1969年東京都生まれ。2016年、「姉といもうと」で第96回オール讀物新人賞を受賞。19年、同作を含む短編集『スナック墓場』で書籍デビュー(文庫化にあたり、『駐車場のねこ』と改題)。23年刊行の長編『欅(たすき)がけの二人』で第170回直木賞候補となる。『猫はわかっている』『私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー』などのアンソロジーにも作品が収録されている。
■書誌情報
『カフェーの帰り道』
著者:嶋津輝
価格:1,870円(税込)
発売日:2025年11月12日
出版社:東京創元社
























