首相就任でAmazonランキング急上昇 高市首相の著作『日本を守る』『国力研究』気になる内容は?

Amazonランキング上位に、つい先日首相に就任した、高市早苗氏の著書『日本を守る 強く豊かに』と、編著『国力研究 日本列島を、強く豊かに。』の2冊が入った。高市氏が第104代内閣総理大臣に任命されたタイミングなので、ある意味当然かもしれない。ネットでの選挙運動が解禁され、投票先を選ぶための情報源として、ショート動画や切り抜き動画の存在感が増しているが、それでも紙の政治家本は読まれ続けている。
ネットでは高市氏の「メタルが好きでドラムが叩ける」「阪神ファン」「スープラに乗っていた」といった、キャッチーな情報が先走りがちだ。「魔人ブウ」のコスプレ姿が拡散された前首相の石破茂氏を思い出そう。こうした身近な話題は広がりやすい一方、政策の中身まで踏み込む機会は少ない。人となりがわかったところで、では一体どのような主張をしているのか知りたいという需要が、高市氏の本が上位に入った一つの要因だろう。首相就任をきっかけに、「まずは考えを知りたい」という読者が増えたと言える。
実際、この2冊は首相就任前から出版されていたものだ。『日本を守る 強く豊かに』は保守系の論壇誌に掲載された連載を加筆・修正してまとめたもので、「高市氏の揺るがない持論」が詰まった集大成と言える。政治家の主張が一冊に整理されていることで、SNSでは伝わりにくい背景や、政策の優先順位が読み取れる。
『日本を守る 強く豊かに』は、銃撃された安倍晋三元首相への追悼から始まる。高市氏が寝ている時、夢に安倍氏が出てきたエピソードから筆を起こしており、これは政治家本としては異例の、人間味が強く伝わる冒頭である。身近な人物の喪失をどう受け止めたのかが示されており、政治家の感情面が垣間見える部分だ。
その後に続くのは、高市氏が担当してきた各大臣職での持論と実績の紹介だ。サイバーセキュリティ対策、経済安全保障、大規模災害への対応など、「強い日本」を築くための政策が訴えられる。内容は硬いが、自身の役職経験に基づいているため、現在の政権運営を知るうえでの参考材料となる。
一冊を通して強く感じられるのは、その主張が基本的に「敵」の存在を前提としている点だ。セキュリティ対策は外敵の存在が前提となっており、この「敵」の存在を明確に意識する思考法こそが「鉄の女」と称される高市氏のぶれない強さの源泉なのだろう。
『国力研究 日本列島を、強く豊かに。』は、高市氏が編著者となり、経済やエネルギー、地方創生など幅広い分野の専門家が寄稿しているのが特徴だ。こちらは個人の主張よりも、データや提言を集めた「政策研究書」に近い位置づけとなる。日本の潜在力や課題を整理し、どう活かしていくかを議論する内容で、政権の今後を占う資料としても注目されている。どちらの本も、「政治家の主張をまとまった本の形で読みたい」という需要に応える内容だ。






















