大谷翔平とデコピンが選んだ”とくべつな贈り物" 絵本『デコピンのとくべつないちにち』は、一冊一冊が動物たちを救う

アメリカMLBドジャースの大谷翔平選手が、新たに見せた顔はなんと「絵本作家」だった。大谷選手が共同著者のマイケル・ブランク氏と書き下ろした絵本『デコピンのとくべつないちにち』(ポプラ社)が、大評判になっている。発売前から、Amazonの「児童書」「絵本」の予約ランキングで1位を独走。2月20日に発売されると、3月2日付のオリコン週間BOOKランキングの「児童書」と「スポーツ関連本」の2ジャンルにおいて1位を獲得したが、それも必然の理由が幾重にもあった。
“相棒”デコピンへ贈る、大谷選手からのラブレター
2023年に右肘の手術を受け、リハビリ生活を送っていた大谷選手は、迎え入れたデコピンが、「ずっとベッドのそばで僕を癒し支えてくれた」と多くの場でコメントしてきた。『デコピンのとくべつないちにち』は、大谷選手から、そんな「家族」で「相棒」のデコピンへ向けたラブレターであると同時に、動物たちが幸せに暮らせる未来を願う、優しさと希望に満ちた一冊になっている。
「ショウヘイおきて!」。ページをめくると飛び込んでくるのは、寝ぼけまなこの大谷選手を起こす、デコピンの元気な姿だ。メジャーリーグ始球式の朝、大谷選手とデコピンの“とくべつないちにち”が幕を開けた。
そう聞いて、2024年8月のあるシーンが浮かんだ人も多いだろう。そう、大谷がデコピンを抱えたデザインのボブルヘッド(首振り)人形が来場者にプレゼントされた、始球式の日のことだ。デコピンは、大谷選手と3週間にわたってみっちり練習した“始球式”を見事に成功させ、その映像は日本でも多くの人が目にした。
『デコピンのとくべつないちにち』では、始球式のピッチャーという大役を任されたデコピンのその日を思わせる出来事が、“デコピン目線で”進んでいく。庭のリスや上空をよぎる飛行機、お花の匂いに朝から触れ、家を出たあともいくつもの“誘惑”にかられながら、ふたりは“デコピンががんばったおかげ”で、無事に球場に到着する。そして“ひろいにわ”(野球場)での準備運動に、ロッカールームでのチームメイトへの挨拶と、始球式に向け順調に進んでいくが……。

始球式成功の裏には、知られざる大冒険があった!?
さて本作はいわゆる“大谷選手が手掛けた”という枕詞の強さだけでなく、絵本そのものの魅力でも、高い評価を得ている。中盤、デコピンはピンチに直面。「たいへんだ! ぼくのラッキーボールは どこ?」と、お気に入りのボールを家に忘れたことに気づき、始球式までに“ラッキーボール”をもって野球場に戻るミッションを、ひとりで遂行することになる。「あの始球式の成功を振り返った物語なのだろう」と読み進めていると、“冒険”へと進む流れに、いい意味で裏切られる。そして全力で駆ける姿や、表情の豊かさに引き込まれ、「デコピン、がんばれ!」と応援したくなる。

これにはイラストレーターのファニー・リム氏による、そっと触れたくなるようなイラストの力も大きい。ホワイトをベースにオレンジレッド(茶)の斑が入ったデコピンの、ちょっと先のカールした耳の毛先のチャームポイントもバッチリだ。そしてデコピンを取り巻く町や動植物、人々、犬目線ならではの視界も楽しく、その描写の端々から、大谷選手にとってデコピンがいかにかけがえのない存在であるかが伝わってくる。
この一冊が、有言実行の大谷選手の願う未来につながる
さらに本書を語る上で欠かせないのが、込められた社会貢献への強い意志だ。公式に「大谷選手とデコピンは、この絵本による収益をすべて慈善団体に寄付します」と謳われており、出版元のポプラ社も「この考えに賛同し、絵本の売上の一部を動物保護団体に寄付いたします」と表明している。
大谷選手は、2025年11月22日に「大谷翔平ファミリー財団」の設立を発表。ミッションステートメントに「子どもたちが活動的であり続け、健全に暮らすことを促す取り組みに資金を提供し、困っている動物を救助、保護、世話するプログラムをサポートすることで、より健康で幸せなコミュニティーを創ること」と掲げた。
この絵本を手にすることは、ただ温かな気持ちをもらえるだけでなく、私たちひとりひとりが一助になれると示している。
■書誌情報
『デコピンのとくべつないちにち』
著者:大谷翔平、マイケル・ブランク
イラスト:ファニー・リム
翻訳:田中亜希子
価格:1,980円
発売日:2026年2月20日
出版社:ポプラ社

























