【漫画】山奥から聞こえる不気味な音の正体は……? 田舎の不思議な出来事を描く『山に棲む』

田舎の村でテント泊をしていたところ、親切な人に誘われ配達員として働き始めた青年。しかし、教育係の先輩からなぜか「家からUFOの音がする」と怖がられてしまい……。
新人配達員と先輩配達員の不思議な交流を描いた漫画『山に棲む』が、Xにアップされた。本作は自身も郵便局員であるという送達ねこ(@jinjanosandou)氏が、配達員から聞いた体験談をもとに描いた1作。
今回は創作のきっかけや体験談を聞いた際の印象について、送達ねこ氏に話を聞いた。(青木圭介)
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ーー本作を創作したきっかけを教えてください。
送達ねこ:私の漫画の読者さんから、山村の“ある郵便局の話”をうかがったことがきっかけです。過酷な道を配達する姿と山の神秘的な言い伝えに打たれ、漫画にしたいと思いました。「郵便屋が集めた奇談」というシリーズをpixivとXに載せていて、本作はその中の1作です。
ーー「郵便屋が集めた奇談」はどのようなシリーズなのでしょうか?
送達ねこ:実際に活動されている郵便局員の方から聞いた不思議な体験をもとに描く、ミステリー漫画の連作シリーズです。心霊現象、サイコホラーや犯罪事件など、さまざまな種類のお話を描いています。
ーー実際にさまざまな場所に足を運ぶ郵便局員をされていると、不思議なお話をよく聞く?
送達ねこ:聞きますね。いわくのある土地や普通なら入らないような場所へ踏み込むので、変わった話を聞くことは多いです。
ーー本作の体験者からお話を聞いた印象は?
送達ねこ:体験者さんは、長年山の配達局にいた方です。県外から来た若者に配達を手伝ってもらったが、他の人には見えないものがその若者には見えているようだというお話でした。彼が初めのうち若者を、「よくわからなくて怖い」と感じていたというのが印象的で覚えています。若者はおとなしいクリエイター気質の子らしく、お話を聞いていると体験者さんが今は彼を気に入っていることもわかりました。漫画では若者を語り手にして、2人のドラマを追ってみることにしたんです。
ーー本作のなかで、送達ねこ氏自身が気に入っているポイントを教えてください。
送達ねこ:若者と山の神が、最後に出会うシーンが気に入っています。誰も見ていなくとも、人の志は神に通じるのではと思いながら描きました。
ーー送達ねこ氏が、郵便局員をしながら漫画を描き始めたきっかけは?
送達ねこ:不思議な体験を書き留めていた局員から、メモを見せてもらったのがきっかけでした。とても興味深くて、現代の民話集のようにまとめてみたいと思いました。ちょうどペイントソフトを買ったタイミングだったので、形式は漫画にしたんです。
「郵便屋が集めた奇談」シリーズを通して、SNSで漫画を発表する面白さを知りました。「似た経験があります!」というコメントや、考察のコメントなんかをいただけるのが嬉しくて。私自身コメントに返信をするなかで、気付きをもらうことも多々あります。次で50話になるんですが、読者さんと会話をしながら描いている感覚で、皆さんの反応にとても力をいただいて描いています。
ーー最後に、今後はどのような漫画を描きたいですか?
送達ねこ:怖い話を描きながら、「人間」という不思議も描いていきたいと思っています。例えば“怖い”にも色々ありますが、そのなかの1つには「わからないモノ」への感情があると思うんです。人は身を守るために情報収集をして、おそらくわからないモノがあると恐怖を感じる。それは幽霊に限らず、対象が人でもあることだと思います。
本作に登場する先輩局員も初めは新人に塩対応なんですけど、理由は単に相手のことがわからないからだったりします。でも、わからない相手に出会う意味は怖がっている人にとって、絶妙に“足りない必要なモノ”である可能性もありますよね。わからなくて避けてた相手を、あるきっかけでわかろうとするうちに劇的に仲良くなったりする。かけがえのない関係を築いたりする。そういうことが割とあるように思いますし、「人間」という不思議についても考えながら描いていきたいです。






















