『ONE PIECE』最凶の海賊・ロックスの人気が急上昇?  過去編で明かされた意外な本性

『ONE PIECE』ゴッドバレー事件の真相とは

※本稿は『ONE PIECE』最新話までのネタバレを含みます。

 ロックス・D・ジーベックといえば、『ONE PIECE』の世界で“伝説の海賊”として語り継がれている人物。現在『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されているエピソードでは、その意外な素顔が明らかになりつつあり、読者のあいだで人気が急上昇しているようだ。

 ロックスの存在について初めて作中で詳しく触れられたのは、単行本95巻に収録された第957話「ULTIMATE」。“白ひげ”ことエドワード・ニューゲートやビッグマム、カイドウが同じ船の出身だという事実が、センゴクの口から語られた。その船こそがロックスが船長を務める世界最強の海賊団“ロックス海賊団”だ。

 他にもロックス海賊団の出身者として、映画『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』でボスを務めた金獅子のシキや、「スリラーバーク編」でゾンビとして登場したキャプテン・ジョンなどの名が挙げられていた。

 とはいえセンゴクはロックス海賊団について、「“仲間殺し”が絶えない凶暴な一味」「語り継ぐ者がいない程 皆 仲が悪かった」と評しており、必ずしもポジティブなイメージは与えられていなかった。むしろ荒くれ者たちによる烏合の衆的な集まりだと考えていた読者が多かっただろう。

 しかし今本誌で連載されているエルバフの王子・ロキの過去編では、これまでとはまったく違うロックス海賊団の姿が描写されることに。たしかにメンバー同士は憎まれ口を叩き合っているものの、殺伐としているわけではなく、酒場で和気あいあいと盛り上がっているシーンも多い。その一方で、荒くれ者たちをまとめ上げるロックスのカリスマ性も印象的に描かれている。

 また、ロックスと当時のエルバフ王・ハラルドの関係は印象的だ。ロックスはハラルドのことを友人と見なしており、しばしば仲間になるよう誘うものの、決して強引なアプローチはしない。むしろ新入りのカイドウが力でねじ伏せることを提案すると、「二度と言うなコノヤロー!! ハラルドはダチなんだよ!!!」と一喝していた。ここからはロックスがたんなる悪党ではなく、友情に篤く、義を重んじる性格だったことが窺える。

 そして第1157話「伝説のBAR」では、ロックス海賊団が国際慈善連盟寺院「フットコロニー」を襲撃し、溜め込まれた財宝を強奪。一見するとイメージ通りの極悪な行為に見えるが、実はこの寺院は「恵まれない子供たちへの寄付金」という体裁で、巨万の富を蓄えていたようだ。すなわち悪事を働いていた人間から金品を奪う“義賊”的な行動だったということになる。

家族愛に非業の運命……意外なロックスのバックボーン

 粗暴に見えるものの実は義侠心を胸に秘めており、圧倒的なカリスマ性で仲間たちを従えていたロックス。さらにその魅力を際立たせているのが、“家族愛”というギャップに満ちた要素だ。

 過去編では38年前に起きた「ゴッドバレー事件」について、当時世界中の海賊たちのアイドルだったシャクヤク(シャッキー)が天竜人に誘拐されたことが原因だと明かされていた。ゴール・D・ロジャーやロックス海賊団の面々は、シャクヤクを救出するためにゴッドバレー島に駆け付けた……という風に描かれている。

 ロックスもまた同じ目的を抱いているように見えたが、第1159話「運命の島」にて意外な真意が明かされた。実はロックスの本名は「デービー・D・ジーベック」であり、世界政府が歴史から消そうとしていたデービー一族の末裔。そして妻と子が存在し、2人に危険が及ばないように自身の故郷・ゴッドバレー島に隠していたという。つまりシャクヤクの救出はただの口実にすぎず、妻と子を逃がすことが本当の目的だったのだ。

 ロックスは血も涙もない凶悪な海賊どころか、家族を守ることを行動原理とする人間味あふれる海賊だった。さらには、“世界政府に狙われた一族”という非業の運命を背負っていることまで判明。こうしてイメージが一変したことで、ロックスを応援し始める読者が急増している。

 なお過去編で触れられているロックスの子どもとは、“黒ひげ”ことマーシャル・D・ティーチを指すものだと思われる。そうなると、現在のティーチの行動原理にもデービー一族という謎めいた血筋が関わっていると考えるのが自然だろう。

 ここにきて突如物語上の最重要人物となりつつあるロックス。今後、さらなる読者人気を獲得していくことになりそうだ。まずは過去編で「ゴッドバレー事件」での活躍が描かれることに注目したい。

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※本稿は『ONE PIECE』原作最新話までの内容を含みます。ネタバレにご注意ください。  『ONE PIECE』には出自も正…

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