朝井リョウ連続1位、東野圭吾も根強い人気 ホラー文芸は映像化の波で勢い止まらず オリコン文芸ランキング2025年9月第2週

朝井リョウ強し。オリコン週間文芸書ランキング2025年9月第2週の第1位を獲得したのは前週に続き、朝井リョウの『イン・ザ・メガチャーチ』(日経BP 日本経済新聞出版)だった。朝井の作家デビュー15周年を記念する作品である同作は、発売後に3万部の重版が決定し累計10万部を突破しているという。同作の帯には執筆の裏側などを収めた動画(朝井自らが撮影)を視聴できるQRコードが印刷されているなど、小説の内容以外でも話題性がある本になっている。
いっぽう、根強い人気を感じたのは前週の4位から再浮上し2位になった東野圭吾の『マスカレード・ライフ』(集英社)である。映画化作品として読者にも広く認知されている〈マスカレード〉シリーズの最新作だが、今回は「日本推理小説新人賞」(実際には存在しない名称の賞である。念のため)の選考がお馴染みの舞台であるホテル・コルテシア東京で開かれるというメタ的な要素が含まれているのが面白い。東野作品では現在、福山雅治主演の映画「ブラック・ショーマン」が公開中だが、こちらの原作である『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』(光文社文庫)はオリコン週間文庫ランキング9月第2週では吉田修一『国宝 上 青春篇』『国宝 下 花道編』(朝日文庫)に次いで第3位にランクインしている。東野圭吾の映像化作品が注目を浴びるようになったのは1999年に公開された映画「秘密」くらいからで、その後2000年代に『白夜行』(集英社文庫)や〈ガリレオ〉シリーズといった作品の連続ドラマ化が続いたことで映像化ミステリ作品では欠かせない存在となっていった。ランキング内での『マスカレード・ライフ』や『ブラック・ショーマン〜』の動きを見ていると、メディア化された東野作品への支持が未だに絶えないことを痛感する。
映像化作品の話をもう1つ。先週、このコーナーでホラー作品が席巻していた印象が変わった、という旨を書いたが、それでも今週のランキングでは背筋の『近畿地方のある場所について』(KADOKAWA)が未だに6位にランクインしている点には注目である。ホラー作品の映像化で言えば、人気ホラーゲーム「8番出口」を二宮和也主演で実写映画化したものを監督の川村元気自らが小説化した文庫(水鈴社)がオリコン文庫ランキング9月第2週では6位に入っていた。各所でホラーブームが起きていることは同コーナーでも何度か触れているが、映像作品のヒットによる更なる拡大が今後もありそうな気配がする。






















