【漫画】子守唄は「ウェカピポ」? 一人の少女とロボットの愛を描く『自分とそっくりの人間の少女に恋したロボットのお話』

自分にそっくりの自分だけの友達、愛情の形に正解はあるのだろうかーー。Xに投稿された『自分とそっくりの人間の少女に恋したロボットのお話』では、SF要素と百合要素を掛け合わせた作品だ。
中盤からラストにかけての怒涛の展開に目が離せず、ところどころ飛び出すボケも面白い本作の作者・ジョハンさん(@moji_moji_johan)に、本作がどのようにして描かれたのかなど話を聞いた。(望月悠木)
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数年前のネームがキッカケ
――『自分とそっくりの人間の少女に恋したロボットのお話』を制作した経緯を教えてください。
ジョハン:ボツになってしまったのですが、2~3年ほど前に百合短編を集めた短編集を発売する企画があり、その短編集に載せる書き下ろし作品として描いたネームでした。面倒くさくて2年ほどほったらかしにしていたのですが、日の目を浴びられないのは可哀想だと思い、今年に入って少しずつ作画を進めて完成させた次第です。
――SF要素と百合要素を織り交ぜた作品でしたね。
ジョハン:もともとSF作品は好きなのですが、描いたことがなかったので、「百合の要素を入れて描いてみよう」と思いました。SF作品によくある“人間(機械)と機械(人間)の身体を手に入れる”という設定や展開と、百合的な王道要素である“少女の憧れの対象への自己同一視”が親和性が高いと思い、世界観を作っていきました。
——中盤以降からは怒涛のストーリー展開でした。
ジョハン:最初のアイデアの時点で作品内で起こりうる事件は決まっていたので、あとは「どこから物語を始め、どこで終わらせるか」ということを考えていきました。前半は前提条件を説明して、この物語の中の謎となる手術を中盤で描き、その後は種明かしという流れでストーリーを構築しました。
——ゾッとするラストはどのように決めたのですか?
ジョハン:「愛し合う2人が肉体を共有する」「精神は別離したまま融合する」という展開がかなり好きなので、それらを意識したラストになりました。
——ハッキリと何が起きたかを説明しないラストでしたが、ラストを描くうえで注意したこともあったのでは?
ジョハン:短編漫画を描く時はいつもラストを駆け足で終わらせるのが好きです。クライマックスのあとのエピローグのようなものは見せずにそのまま終わらせたいのですが、それでは駆け足すぎて情緒も失われるリスクが生まれます。なので、登場人物の感情も読み取れるようなラストカットを描くように心掛けました。
後悔したこととは
――ボタンとシャクヤクはどのように作り上げましたか?
ジョハン:私はかなり画力が低い漫画描きなので、読みやすくなるように、とにかくシンプルでとっつきやすく可愛らしい感じで、ということを気にかけています。また、一見優しげな性格に見えるほうが、物語上で突飛な行動を起こすことがあるため、ギャップを意識して作りました。
——SOUL'dOUTや『SLAM DUNK』(集英社)など、ところどころ出てくるボケも面白かったです。
ジョハン:これは本当に個人的に悔しかったのですが、この漫画のネームを描いた当時はまだXでSOUL’dOUTがミーム化される前で、また『SLAM DUNK』の映画も公開前だったんです。私がこの漫画を世に出さずにいる間、ネタが時代遅れになってしまいました。
——ボケが多すぎるとシリアスな空気感が薄れるリスクもありますが、ボケを入れるタイミングはどのように決めているのですか?
ジョハン:ボケやギャグはほとんど発作のようなものなので、タイミングとかは考えていないです。自分でも「こんなことやめたい」と思いながら前後不覚の状態で描いています。無用なギャグを入れたがるのは弱点ではありますが、ダメな部分も愛してください。
――最後にジョハンさんの読者に伝えたいことなどあれば!
ジョハン:私は同じことを続けられない社会不適合者のため、定職に就かずフリーターをしながら趣味で漫画を描いています。ありがたいことに漫画のお仕事をいただくこともありますが、そもそも働くことが向いていないため迷惑ばかりかけています。
もし私の漫画の読者の中に、ちゃんと働いているにも関わらず「自分は社会人失格だ」なんて落ち込んでいる人がいるなら、「おいおい、この漫画は常人のあなたには到底及ばない“低み”からお届けしていますよ……」と励まし、その肩をポンと叩いてあげたいです。また、漫画を描くのはずっと続けるつもりなので、また新しいのが描けたら、よろしくお願いします。
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