【漫画】寂れたお墓に住むヨウム、口ずさむ歌は何の歌? 『墓守りのヨウム』が泣ける

【漫画】寂れたお墓に住むヨウム

 亡くなった飼い主の墓で歌うヨウム――。その姿を描いた短編漫画『墓守りのヨウム』がXに投稿されている。「寂しい物語」として構想された本作は作者・inouさん(@inouaki)自身も新たな作風を見出すきっかけになったという。

 セリフのない演出や、動物たちが歌でつながる場面はどのように生まれたのか。作品誕生の背景に迫りたい。(小池直也)

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『墓守りのヨウム』(inou)

――Xでの反響はいかがでしょうか?

inou:自身のアカウントの中では暗い印象の漫画だったため、読んでもらえるか不安でしたが、思った以上に好評をいただいた印象です。

 寂しい物語として制作したのですが、「温かい」「優しさに溢れている」といった感想で改めて自身の作風を知るきっかけにもなりました。

――着想のきっかけなどがあったのでしょうか?

inou:最初は「時間の流れが違う、2人のキャラクターの対比を表現した漫画を描きたい」と考えてました。それがお彼岸の季節だったこともあり、お墓=時の止まった場所と残された家族との対比ならどうかとアイデアが浮かんだんです。

――プロフィールには猫好きとありますが、ヨウムを主人公にした理由も気になります。

inou:ずっと飼っていることもあって猫も好きなのですが、基本的に動物全般が大好きです。ヨウムを主人公にした理由は「寿命が長くて賢い鳥」という特徴を活かして、時の流れの対比を表現してみたかったのと純粋にかわいいと思ったからでした。

 ヨウムのキャラデザインは、実際に飼っている方のYouTubeをいくつか参考にしています。

――セリフなしでハートウォーミングな物語が展開していきますが、制作で考えていたことはありますか?

inou:読者のみなさんの読む体力と気持ちに寄り添う漫画作りを目指しました。情報過多なXで漫画のスレッドを開くこと自体が体力を使うことですから。読後それぞれに印象的な何かが残ってくれたらいいなと思っています。

――回想シーン、現代シーンともに動物が歌う場面が印象的でした。ご自身として思い入れのある場面はどちらでしょう?

inou:嬉しいです。私も場面としては、現代に切り替わったヨウムと鳥たちのシーン。これは毎日聞こえてくるヨウムの歌に、周りの鳥たちがつられてマネしている1コマなんですよ。「コミカルに描きすぎたかな?」と、最後までこのページに動物は要るのかと悩んだ末、自分が描きたい方を選びました。

――作画についてのこだわりなどがあれば教えてください。

inou:さっと読んで目に止まりやすいキャラクター作りと絵作りを心がけています。それと鬱蒼とした自然の中にポツンといるキャラクターも好きな構図なので、森の背景は植物の密度が多めですね。

――inouさんは可愛いキャラクターのイラストも投稿していますが、漫画の場合と考え方が違ったりするところがありますか。

inou:もともとXのアカウントは動物キャラクターの日常イラストを投稿するために作ったんです。だんだんと漫画も投稿してみたくなり、不定期で投稿するようになりました。

 動物イラストで表現したいのは、ミニチュアやドールハウスのように遠くから見た世界。一方で漫画の場合は、読者様の心象風景に刺さるような寄り添える漫画作りを目指してます。

――ファンタジックな作風のアイデアはどのようにして浮かんでくるのでしょう? 日々取り組んでいることなどがあるのでしょうか。

inou:散歩だったり家族や友人とのおしゃべり、聞きかじった雑学から「もしもこうだったら」と膨らませることが多いです。

――今後の展望などがあったら教えてください。

inou:今のスタイルの漫画も続けていくなかで少しずつ、セリフも含んだ漫画、長編にもチャレンジしたいです。

■「墓守りのヨウム」が収録された短編集『おはなしコバコ おはなし小箱』はKindleで無料配信中:https://t.co/mzQVndY8ec

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