俵万智『生きる言葉』10万部突破! なぜこんなにも売れたのかーー俵万智がコメント発表

2025年4月17日に新潮新書から発売された、俵万智の『生きる言葉』が刊行から4ヵ月で早くも10万部を突破した。
『サラダ記念日』でお馴染み、歌人・俵万智のはじめての言葉をめぐる論考作品『生きる言葉』。中高年の男性読者が多いと言われる新書だが、『生きる言葉』はそんな従来の枠を超え、幅広い世代に深く届いていることがヒットの背景にある。
10万部突破を記念し、俵万智がコメントを発表した。推薦コメントはヒコロヒーと「ゆる言語学ラジオ」の水野太貴が務めている。
俵万智コメント
出版直後に、いくつかのインタビューを受けたとき、普段とは違う手ごたえを感じた。みなさん、熱い。写真を撮ったら途中で帰るはずのカメラマンが居残って、話に加わってきたこともあった。なんというか、自分ごとなのだ。言葉と無縁で生きている人はいないし、今、言葉について悩んだり迷ったりしている人がたくさんいる……そのことが実感された。SNSでも同様だ。本書に書いたように、クソリプを観察してクソリプ耐性をつけた私は、今回「#生きる言葉」などでエゴサしている。「笑った」「泣いた」「いい時間が持てた」……投稿してくれている世代もさまざまで、中には高校生の息子から勧められて読んだというお母さんもいた。子育て本という読み方もできるようで、たしかに第一章で赤ちゃんだった息子は「おわりに」では、私と母のいさかいを、みごとに言語化して救ってくれるまでになった。嬉しいのは「初めて新書を最後まで読んだ!」「わけわからんくらい読みやすい」といった声だ。言葉について書かれた本の言葉が、読みにくかったらシャレにならない。実は尋常じゃないくらい推敲した。某有名塾で、さっそくテストに使われたとも聞き、ガッツポーズである。「演劇や和歌はともかく、AIからラップまで、守備範囲が広いですね」とも言われる。自分は言葉のオタクなんだと思う。つまり私の推しは「言葉」。推し活だから、あらゆる現場に足を運んでしまう。この本をきっかけに、言葉について考え、立ちどまり、身近な誰かと話すような時間が生まれてくれたら、嬉しい。簡単に言葉を届けられる時代だからこそ、そういう時間が、一人一人の「今日を生きる言葉」を豊かにしてくれるのではないかと思う。最後に、書店員さんはじめ本書を読者に届けてくれた方々へ心から感謝したい。みなさんのお力なくしては十万部(!)は、ありえない。そして引き続き、よろしくお願いします。 俵万智
推薦コメント
ヒコロヒー
ーーかの谷川俊太郎さんに「現代詩の敵」と最大の賛辞を受けた女による、凄まじい分析評論
水野太貴(「ゆる言語学ラジオ」スピーカー)
ーー気を抜くと、人は言葉に使われてしまう。言葉を飼いならすヒントが詰まっている
■書誌情報
『生きる言葉』
著者:俵万智
価格:1,034円(税込)
発売日:2025年4月17日
出版社:新潮社






















